2024.12.26
修繕積立金の目安は?
ガイドラインから見る修繕積立金
マンションの良好な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、計画的な修繕工事の実施が不可欠であり、そのためには、長期修繕計画に基づき、適正な修繕積立金の額の設定を行うことが重要です。 国土交通省が公表する修繕積立金に関するガイドラインが令和6年6月に改定されましたので、ガイドラインをもとに修繕積立金の目安をご紹介します。
▶マンション修繕にまつわるさまざまな資料をご用意いたしました。
1.修繕積立金の目安
小規模マンション (20階未満、建築面積5,000㎡未満)
専有面積80㎡の場合の月額目安 | 26,800円/月 |
㎡単価の平均値 | 335円/㎡・月 |
㎡単価の3分の2が包含される幅 | 235円~430円/㎡・月 |
中規模~大規模マンション(20階未満、建築面積5,000㎡~)
専有面積80㎡の場合の月額目安 | 20,800円/月 |
㎡単価の平均値 | 260円/㎡・月 |
㎡単価の3分の2が包含される幅 | 170円~325円/㎡・月 |
高層マンション(20階以上~)
専有面積80㎡の場合の月額目安 | 27,040円/月 |
㎡単価の平均値 | 338円/㎡・月 |
㎡単価の3分の2が包含される幅 | 240円~410円/㎡・月 |
※機械式駐車場がある場合は、別途加算が必要。
2.修繕積立金と長期修繕計画について
①修繕積立金について
マンションの共用部分の修繕工事は長い周期で実施されるものが多く、修繕工事の実施時には多額の費用を要します。マンションの大規模修繕は、1戸当たり100万円を目安にするということも聞きますが、こうした多額の費用を修繕工事の実施時に一括で徴収することは、区分所有者にとって大きな負担となり現実的ではありません。
そのため、将来予想される修繕工事に要する費用総額を算出し、長期間にわたり計画的に積み立てていくものが、「修繕積立金」です。
②長期修繕計画について
長期修繕計画は、マンションにおける修繕工事の計画を長期的に取り決めておくものです。 修繕積立金の額は、将来見込まれる修繕工事の内容、おおよその時期、概算の費用等を盛り込んだ「長期修繕計画」に基づいて設定されます。
長期修繕計画について、長期修繕計画見直しの重要性など、別のコラムでも解説しています。
3.修繕積立金の積み立て方法について
修繕積立金の積立方法には、計画期間中に必要な費用の総額を、毎月均等に積み立てる「均等積立方式」と、当初の積立額を抑え段階的に値上げする「段階増額積立方式」があります。また、修繕時における一時金の徴収等を併用する場合もあります。
新築マンションの場合は、購入者の当初の月額負担を軽減するため、「段階増額積立方式」を採用している場合がほとんどですが、増額しようとしても、区分所有者間の合意形成ができず修繕積立金が不足する事例が生じています。
将来にわたり安定的な修繕積立金を確保する観点からは、「均等積立方式」が望ましい方式であると国土交通省も推奨しています。
マンション修繕・管理にお悩みなら
専門家への無料相談予約はこちら
いかがでしたか?
修繕積立金の額は、個々のマンションごとに様々な要因によって変動し、ばらつきも大きいことから、必ずしも今回紹介した金額が適正な数字とは言い切れません。
自身のマンションの修繕積立金が適正化どうかを知るためには、長期修繕計画で計画している修繕費を検証することが重要です。直近の修繕だけでも、計画している修繕費が適正かどうか確認することで、全体の計画を見直すきっかけになるでしょう。
修繕費の検討には相見積の取得が重要です。管理会社頼みにならず、自身で修繕費の妥当性を検証してみてはいかがでしょうか。
黒木 淳
(マンション管理士)
大手マンション管理会社にてフロント担当者として勤務。
その後、独立系管理会社にてフロント業務のほか、管理組合支援業務として第三者管理業務、顧問業務を行う。
現在は、マンション管理の専門家として、管理組合が管理会社と対等な関係が築けるようサポートを行っている。
おすすめのコラム
-
管理費と機械式駐車場 ~なぜ管理組合会計から修繕費を出すのか問題~
2024.7.5
-
よくわかる!マンション管理組合監事の役割
2024.3.15
-
どうする?どうなる? マンションの機械式駐車場
2024.3.15