
2026.6.4
マンションの「健康診断」、特定建築物定期調査とは
「また点検か…?」
管理組合が行う「点検」の多さに驚いている方もいるかもしれません。
マンションでは消防設備やエレベーター、受水槽など、さまざまな点検が行われます。
中でも、3年に1回(※自治体により異なる)行う重要な点検が、「特定建築物定期調査」です。
この調査は、マンション全体を対象とした、いわば「建物の人間ドック」。
※一部自治体では、「特殊建築物等(特定建築物)定期報告」と呼ばれています。
本記事では、この意外と知られていない重要点検について、分かりやすく解説します。
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1.特定建築物定期調査とは
「特定建築物定期調査」とは、建築基準法第12条で定められた、建物の所有者(管理組合)に課せられた義務です。
一級建築士などの有資格者が、建物の構造や安全性を調べ、その結果を自治体に報告します。
これを怠ると、罰則の対象になるだけでなく、万が一の事故の際に管理組合の責任が問われることもある、非常に重要な調査です。
| 根拠法 | 建築基準法 |
|---|---|
| 対象建物 | 階数・延べ面積等により指定(例:5階建以上かつ1,000㎡超など)※自治体により基準が異なります。 |
| 点検資格 | 一級建築士ほか有資格者 |
| 罰則規定 | 100万円以下の罰金 |
主な点検内容(例)
- ① 敷地・地盤
・避難通路の幅、段差・ひび割れ
・地盤沈下
・擁壁(石積み・RC壁)の亀裂や膨らみ - ② 建物外部
・外壁タイル・モルタルの浮きや剥離
・屋上防水の膨れ・破れ、排水口詰まり
・窓・サッシの腐食やガラス落下の危険 - ③ 屋上・避難施設
・非常階段や廊下の障害物
・手すりの腐食・ぐらつき
・バルコニー避難ハッチ周辺の荷物
・排煙窓が正常に開くか - ④ 建物内部
・防火区画(配管まわりの隙間)
・防火扉・シャッターの機能
・非常用照明の作動確認
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2.なぜ行うのか
「特定建築物定期調査」の目的は主に次の3点です。
- ・公共の安全確保
- ・被害の拡大防止
- ・維持管理の質の向上
マンション所有者の団体である管理組合には、マンションを安全に保つことが求められています。
そのための重要な制度として、「特定建築物定期調査」は位置づけられています。

3.調査はどこに頼む?
多くの管理組合では、管理会社を通じて調査を依頼しています。
一方近年では、点検費用の高騰、修繕コスト増加などを背景に、相見積もりを取得し費用を抑制する組合も増えています。
皆さんのマンションでも、適正な価格で発注されているか、相見積もりを取得して確かめることをおすすめします。
「特定建築物定期調査」の発注先によるメリット・デメリット
| 発注先 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 管理会社 | 窓口が一本化され、理事会の負担が少ない。 | 費用が高くなりやすい。 |
| 専門の点検会社 | 費用を安くできる。 | 組合が発注先を探すなど負担になる。 |
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4.理事会が押さえるべきポイント
「特定建築物定期調査」は3年毎に行われる調査です。
そのため、該当年度の理事・役員は次の点を意識しましょう。
- ・相見積もりを取得しているか
- ・調査結果を把握し、理解しているか
- ・是正指摘箇所の実施時期(「今すぐ必要か」「将来対応か」)
なお、実施時期であるかどうかは、前期総会議案書の「来期予算」で
「一般会計の支出の部」に「特定建築物定期調査」の費用が計上されているかで確認できます。

5.ほかにもある!マンションの法定点検
「特定建築物定期調査」のほかにも、管理組合が行う法定の点検は複数あります。
管理組合は、これらの点検を適正な内容と価格で発注するために、知識習得が求められます。
| 法律 | 点検・調査名 | 主な対象 | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 建築基準法 | 建築設備定期検査 | 換気・非常灯・給排水 | 1年 |
| 建築基準法 | 防火設備定期検査 | 防火扉・シャッター | 1年 |
| 建築基準法 | 昇降機等定期検査 | エレベーター | 1年 |
| 消防法 | 消防用設備等点検 | 消火器・火災報知器など | 6か月 / 1年 |
| 水道法 | 簡易専用水道検査 | 受水槽(10㎥超) | 1年 |
| 電気事業法 | 電気設備点検 | 受変電設備(キュービクル) | 毎月 / 1年 |
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マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)
国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com
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