マンション修繕なびコラム 改正法後も決議できない!?あなたのマンションが陥る”定足数”の罠

2026.4.24

改正法後も決議できない!?あなたのマンションが陥る”定足数”の罠

2026 年4月から施行される改正区分所有法は、長年”決められなかった”管理組合にとって朗報といえます。

しかし、手放しで喜ぶことはできません。「そもそも総会成立が危ぶまれる」一部の組合には、この法改正は必ずしも万能ではないからです。

本記事では、法改正の盲点について解説します。

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1.法改正の目玉は?

今回の改正で導入された「出席者多数決制度」は、「出席組合員(議決権行使・委任含む)」の多数決で議案を可決できる仕組みです。

これまでの法律では、総会で議案を可決するには、全区分所有者と議決権総数の「過半数(普通決議)」や「4分の3以上(特別決議)」等の賛成が必要でした。総会に出席しない組合員の増加や、連絡がつかない「所在不明者」が多いマンションでは、特に「4分の3」の賛成票を集めることができず、”決められない組合”と化していました。「出席者多数決制度」の導入は、このような組合にとって打開策となることが期待されます。

▶コラム「【国交省の中の人が解説】マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法を徹底解説!~区分所有法 被災区分所有法 編~【2025最新】」

2.区分所有法に「総会定足要件」の規定はない

意外に知られていない事実ですが、区分所有法には、「普通決議(過半数の賛成を要する決議)」において「議案を成立させるために最低限必要な人数(議決定足要件)」の定めはありません。(特別決議には「議決定足要件」あり)

極端に言えば、100世帯のマンションで出席者がたった3人であっても、「普通決議」ならその中の多数決で可決できます。

これを聞くと、「どんなに出席人数が少なくてもサクサク決まっていくのでは?」と思われがちですが、そこには盲点があります。

それは、各マンションの独自ルールである「管理規約」に定められている「総会定足要件」です。(標準管理規約第47条)

動画「【区分所有法改正】マンション管理士に聞いた|管理規約改正で“よくある勘違い”Q&A7選」

3.「規約」が定める”総会定足要件”の壁

国土交通省が作成し、大多数のマンションが手本にしている「標準管理規約」では、あえて下の規定を設けています。

「総会の会議は、議決権総数の過半数を有する組合員が出席しなければならない。」

これが「総会定足要件」です。ほとんどの管理組合の規約にも同様の定めが設けられています。

4.なぜ「出席者多数決」が解決策にならないのか?

つまり、出席者が足りずに総会自体が流れてしまうような組合にとっては、いくら法律で「出席者の多数決で決めて良い」と言われても、解決策にはならないのです。

そしてこの「総会定足数」を満たせない組合は高経年化と共に増加すると推測されます。

▶コラム「理事・役員必読!改正マンション標準管理規約~「決められない管理組合」から抜け出すヒント~」

5.規約から「総会定足要件」を外せばいいのか?

「それなら、普通決議だけでも総会定足要件を規約から外せばいいじゃないか」という考えも浮かびます。確かに、規約を変更すれば「出席者が何人であっても総会は成立し、普通決議を出席者多数決で決議する」という運営は可能です。

しかしこれは、「諸刃の剣」と言えるかもしれません。

ごく少数の出席者だけで、管理費の値上げや修繕工事が次々と決まってしまう状況は、”所有者全員で管理する”という管理組合の理念が崩れてしまいます。

6.法律に頼る前に、管理への関心を高める

今回の法改正は、「決めることができなかった組合」が管理を円滑に進めることを支援するためのものです。

安易に規約をゆるめて「決めやすい仕組み」に走るのではなく、まずは「総会定足要件を当然に満たせる組合」を目指さねばなりません。そのためには下のような対策を講じ、組合を改革することをおすすめします。

  • ・組合運営の関心を高める広報活動
  • ・組合運営「丸投げ」脱却のための各種施策を講じる
  • ・組合運営について学び続ける

これらの努力を怠ると、いくら法律が改正されても「管理不全に陥る可能性がある」ということを忘れてはなりません。

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いかがでしたか?
法改正という追い風を活かしつつ、一人ひとりが管理に関わる組合文化を育むことが、マンションの資産価値を保つ王道と言えるでしょう。
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マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)

国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com

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