
2026.4.23
改正区分所有法 重要ポイント10選
マンションの基本的なルールを定めた法律である「区分所有法」が改正され、2026 年4月に施行されました。管理組合の運営に大きく関わる改正ですが、一般的な組合に関係がある内容は限定的です。
本記事では、多くの組合ですぐに役立つ「管理をスムーズにするための変更点10選」をわかりやすく解説します。
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1.「出席した人」だけで決議ができる制度の導入
区分所有法改正の目玉の一つは、「出席者多数決制度」の導入です。
これまで総会議案の可決には、全区分所有者を分母とする多数決で決定しましたが、「出席者(委任状、議決権行使書提出を含む)」を分母とする多数決で決めることが可能になりました。
➡区分所有法第17条の1、第39条の1
この制度は、賛成数が足りずに議案を可決できなかった組合にとっては朗報と言えるでしょう。
どのような議案が、出席者多数決で決議できるのかを下の表にまとめました。
【出席者多数決制度が取られる事項】
| 議案 | 議決定足ルール | 賛成数 |
|---|---|---|
| 普通決議 | なし | 過半数 |
| 共有部の変更 | 有 | 3/4以上 |
| 復旧決議 | 有 | 3/4以上 |
| 規約の設定・変更・廃止 | 有 | 3/4以上 |
| 管理組合法人の設立・解散 | 有 | 3/4以上 |
| 管理組合法人による区分所有権等の取得 | 有 | 3/4以上 |
| 義務違反者に対する専有部分の使用禁止請求等 | 有 | 3/4以上 |
「建替え」や「敷地の売却」など、区分所有権の「処分」を伴う決議以外は、「出席者多数決」により決定できるようになりました。
なお、マンション独自のルールである「管理規約」が改定されていなくても法律が優先されるため、「出席者多数決制度」が採用されます。
▶動画「区分所有法で何が変わる?”出席51%”時代の必勝運営法を伝授します!【役員輪番制】」

2.「所在不明の区分所有者」を多数決の計算から外す制度の導入
マンションは高経年すると所在不明の区分所有者が増加する傾向があります。所在不明者の増加は、総会議案可決のハードルとなっていました。今回の改正では、裁判所に認められた「所在不明の区分所有者」については、最初から多数決の計算(分母)に入れず、採決することが可能になりました。
➡区分所有法第38条の2
3.管理できていない部屋や共用部分を管理する制度の創設
区分所有者がその部屋や共用部分(バルコニーや専用庭など)を適切に管理せず、他者に危害が及ぶ恐れがあるときは、裁判所が管理人を選任して管理させる仕組みが創設されました。
➡区分所有法第46条の8~14
▶動画「マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法を徹底解説!~区分所有法 被災区分所有法 編~」

4.所在不明区分所有者の部屋を管理できる制度の創設
所有者の所在が不明で、部屋が適切に管理されず建物の維持・管理に支障が出ている場合には、裁判所が選任した管理人は裁判所の許可を得て、対象の部屋を売却するなどができるようになりました。
➡区分所有法第46条の2~7
5.「共用部」と「部屋内」の工事をセットで決議できる
これまでは、マンションの共用部(例:共用配管)と、各部屋内の専有部(例:配管)の工事を一括でやりたくても、法律で規定されていませんでした。法改正後は、「セットでまとめて工事します!」という決議を、一度の多数決で行えるようになりました。※あらかじめ規約に定める必要があります。
➡区分所有法第17条の3、第18条の4
▶動画「マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法を徹底解説!~マンション管理法・再生法 編~」

6.他の部屋の修繕を請求できる
上階の部屋の配管から発生した漏水被害を、被害住戸の所有者自らが加害住戸に対し「立ち入り」や必要な「補修(修繕)」を、請求できるようになりました。共用部分からの被害であっても、「立ち入り」や「補修」の請求ができます。
➡区分所有法第6条の2
7.国内管理人制度
区分所有者が海外に住んでいて連絡がつかないと、トラブル時に困ります。このため、国内に住所がない区分所有者に「国内管理人」を選任させ、専有部分と共用部分の管理を行わせることができるようになりました。国内管理人の選任は規約で義務化することもできます。
➡区分所有法第6条の2
▶コラム「「改正マンション関係法」に関する全国説明会レポート」

8.建物の欠陥への「損害賠償」を理事長がまとめて行える
分譲会社が共用部分に欠陥のあるマンションを販売した場合、これまでは一部屋でも転売のあったマンションでは理事長が一括して損害賠償請求を行うことができないと指摘されていました。改正法では、すべての請求権を有する者を代理して、理事長が訴訟を行えるようになりました。
➡区分所有法第26条の2、4、第47条の6、8
9.「バリアフリー工事」などは少ない賛成でOKに!
スロープの設置やエレベーターを新設する「バリアフリー化」や、危険な場所の修理については、決議のハードルが下がりました。
⇒これまでのルール: 4分の3以上の賛成が必要
⇒これからのルール: 3分の2以上の賛成でOK
「やりたいけれど、賛成が4分の3まで届かない……」と諦めていたバリアフリー化などが進めやすくなりした。
➡区分所有法第17の1、5
▶コラム「理事・役員必読!改正マンション標準管理規約~「決められない管理組合」から抜け出すヒント~」

10.「みんなで協力し合う」ことが義務化された
「区分所有者は管理組合の一員として建物や敷地および付属施設等を適正かつ円滑に管理するよう互いに協力しなければならない」と、区分所有者の義務が新たに定められました。
義務違反者に対する罰則等はありませんが、マンション管理の基本原則として様々な場面で判断基準になると考えられます。
➡区分所有法第5条の2
今回の法律改正を機に、管理に無関心な区分所有者の増加を抑制できるのか、マンション管理の行方が注目されています。

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いかがでしたか?
今回ご説明した内容のほかにも、建替えや敷地売却など、マンションの「再生」を円滑に行うための改正もなされました。
この法改正を機に、組合運営の今後について、議論を始めることをおすすめします。
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マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)
国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com
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