マンション修繕なびコラム 総会前の理事会は何をする?

2025.4.9

総会前の理事会は何をする?

総会は、管理組合における最高意思決定の場です。理事会にとっても、1年間の活動の総決算を報告する場であり、大変重要な集会です。この総会を適正に開催し意義あるものにするためには、総会の前月に行われる「総会前理事会」運営がポイントとなります。
総会準備を管理会社だけにお任せするのではなく、組合自らが「総会前理事会」運営に関する知識を身に付け、総会を成功させることが重要です。

この記事では、「総会前理事会」で行う重要な事項2点と注意点についてご説明します。


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1.総会前理事会で管理会社がおこなうこと

総会前理事会では、管理会社による「管理業務報告」が行われます。「管理業務報告」とは、管理会社が、組合から委託された管理業務の実施状況を理事長や理事会に報告します。報告者は管理会社の管理業務主任者です。主な報告事項と組合の確認事項は、下記点です。

▶管理会社の主な業務については、コラム「自主管理は可能?マンション管理会社の役割」をご覧ください!

報告内容確認事項
会計報告・会計の実績値、予算と実績の乖離について確認する
管理委託契約の内容に関する報告・前期総会で決議された事業の実施状況を確認する(例:長期修繕計画書の更新など)
・管理会社が請け負う管理員業務や特別清掃、消防点検などの実施状況を確認する
・理事会議事録作成
・保管状況の確認(理事会議事録の作成を管理会社が行っている場合) 
ほか

注)管理委託内容は組合により異なります。委託した業務が滞りなく実施されているか委託契約書に照らして確認します。

2.総会前理事会で理事会が行うこと

① 総会議案内容の確認
総会前理事会では、総会議案内容の最終確認を行います。総会に上程される議案は、理事会において議論が尽くされていなければなりません。総会前理事会では、総会議案内容をチェックし、適正と認められれば上程を承認します。

総会議案と確認事項

議案確認事項
会計報告と会計監査報告予算と実績が乖離している会計科目は、原因を確認する
各個別議案議案内容の説明が明確に記述されているかどうかを確認する。議案には下記4点を明記し、議決権を行使する人が賛否を判断できるようにする。 ・発議の経緯
・理事会での検討内容
・組合運営に与える影響
・実施詳細
予算案・適正な会計からの支出であるかを確認する ・赤字予算になっている場合は、赤字解消案を提案する
・総会承認のない修繕積立金からの支出が予定されていないか確認する
・今期実績値と乖離する会計科目について、その原因を確認する
来期管理組合の事業計画来期理事会へ検討事項などを明確に申し送る。 例)
・当期理事会で継続審議となった議題
・管理費等値上げの検討開始 ・委員会の設置 など

② 来期理事・役員候補者の確認

来期の理事・役員候補が、就任に同意しているかも、総会前理事会で確認します。総会議案書が配られて初めて、理事候補となっていることを本人が知るような事態は避けるべきです。もし、都合により理事就任を辞退したい旨の申し入れがあれば、総会前理事会でその可否を検討し対策を講じます。

3.総会前理事会における注意点

総会前理事会では重要な議案の検討は避けるべきです。例えば、高額な費用を必要とする修繕や、管理規約改定の検討などです。
総会前理事会は確認すべき事項が多く、十分な検討を行う時間がありません。このため、ギリギリの状況で重要な議案を検討することがないよう、総会前理事会より前の理事会で提案するよう管理会社に指示しましょう。もし、総会前理事会で提案があった場合は、決議を見送り来期理事会に申し送りしたほうが良いかもしれません。

私がマンション担当者であった時代、総会前理事会は長時間に及ぶことが通常で、総会が重なる月の前月はパニックになるほど準備に追われました。管理組合の理事・役員さんにとっても1年間の総括です。必ず出席し、責務を全うしてください。

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いかがでしたか?
総会前理事会の重要性をご理解いただけたかと思います。理事会にとっても管理会社にとっても当期の管理組合運営の総括を行う会議であり、来期の組合運営に多大な影響を及ぼす重要な理事会です。総会前理事会運営のポイントを知れば、総会を有意義なものとすることができるでしょう。 ちなみに、マンション修繕なび のサービスを採用した組合では、サービスの利用による支出削減成果などを総会の場で報告している事例もあります。このように、組合の新しい取り組みの成果を総会の報告に含めることも、総会前理事会で話し合うことが推奨されます。

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マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)

国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com

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