マンション修繕なびコラム 管理会社変更のメリット/デメリット

2025.6.20

管理会社変更のメリット/デメリット

管理組合が抱える課題解決に取り組む際、「管理会社を変更(リプレイス)」したい」という誘惑にかられることは珍しいことではありません。

実際、マンション管理士の私のもとにも、「管理会社を変えたい」「安心して任せられる会社はありますか?」といった相談が数多く寄せられます。これらの声から、管理会社に対する不満の大きさがうかがえます。

このコラムでは、管理会社変更について、どのような時に変更を行うべきか、管理会社変更の影響(メリット・デメリット)と、成功するための対策などをお話しします。

管理会社の役割については、▶コラム「自主管理は可能?マンション管理会社の役割」をご参照ください。


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1.変更すべき管理会社の特徴

まず私が考える、変更すべき管理会社の特徴を下記に挙げます。

・組合会計に金銭トラブルが発生している
・理事会の承認なしに工事などを実施する(管理規約に反する理事長承認のみの工事実施を含む)
・担当者が短期間で頻繁に交代している(2年間で3人目など)
・緊急性の高い修繕工事を放置している

これらの問題は、人手不足や組織内のチェック機能の欠如、担当者のモラルや知識の不足が起因している可能性があり、迅速な解決は難しいでしょう。 こうした状況が継続し、改善が見込めない場合は、管理会社を変更することをおすすめします。

2.管理会社変更のメリットとデメリット

管理会社を変更した場合、組合にはどのような影響があるでしょうか。メリットとデメリットは以下のようなものが考えられます。

メリット
・安心して会計や出納業務を任せられる
・担当者が安定し適切なアドバイスを得ることができる
・必要な工事や修繕について調整してくれる など

デメリット
・複数回の変更を行う組合は、管理の引受先が減少する
・委託内容により管理委託費が高額になる
・組合運営の引き継ぎが難航し、責任の所在が曖昧になる  など

ただし、上記のメリットはあくまで可能性に過ぎません。実際にどのような管理が提供されるかは、変更前に見極めることは難しいのが実情です。一方で、複数回にわたる変更に伴うデメリットは、高い確率で発生するでしょう。
私が知る管理会社変更を繰り返している組合は「管理会社に対する期待や要求が極端に高い」という傾向が見られます。その場合、たとえ変更しても理想とする管理体制は実現できず、同じ問題を繰り返すことになる恐れがあります。

3.管理会社変更時の対策

では、どうすれば管理会社の変更を成功させられるでしょうか。

まずは「なぜ変更したいのか」、理由を明確にすることです。その上で、管理組合として自らできる対策を講じてから変更を検討すべきでしょう。

例えば
●管理会社が提案する修繕工事に不安がある場合 → 専門家の意見を取り入れて組合主導で判断する。
●担当者が議事録を作成しない場合 → 理事会で適正な議事録を作成する。
●担当者が問題を解決してくれないとき→理事会に専門家を招き、勉強会を開いて知識を補う。

このように、まずは組合でできることを行い、その上で「どうしても変更が必要」と判断された場合は、管理会社の変更を進めてください。

4.”青い鳥症候群”になるなかれ

なぜ組合がここまでしないといけないのか?と、疑問に思われる方もいるかもしれません。単に担当者を変更すれば問題解決するのでは?と。しかし私の経験上、担当者を変更しても満足する結果を得ることは難しいと、いわざるをえません。

ましてやあなたが、マンションの管理運営を適正に行うのは管理会社の仕事であると考えているなら、組合自ら対応しようとはならないでしょう。しかし、それは大きな誤解です。マンションの管理運営は管理組合自身の責任であり、管理会社はあくまでその一部を担う存在にすぎません。この認識を持たずに管理会社を変更しても、不満の根本的な解決にはつながらず、「青い鳥症候群」に陥るリスクがあります。

私が考える、マンションの“青い鳥症候群”とは、「理想の管理会社を追い求めて変更を繰り返し、結局どこにも満足できない状態が続く」という現象です。こうした行動は結果的に組合が自立する機会を逃し、不満が解消されることはないでしょう。

管理会社変更を議論するとき、“幻の青い鳥”を追い求めていないかを冷静に判断する必要があるのです。

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いかがでしたか?
管理会社変更は組合運営の一大事です。
組合自らが知識と実行力を身に付け管理会社と対等な関係を築くことができれば、管理会社変更の誘惑に打ち勝ち、自立した組合運営が可能となることでしょう。
マンション修繕なび では、信頼できる専門家とのマッチングサービスで管理組合の修繕や管理をサポートしています。
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マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)

国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com

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