マンション修繕なびコラム 監事の役割 ~理想と現実~

2026.6.26

監事の役割~理想と現実~

分譲マンションの総会資料には必ず「監事」という役職が登場します。
しかし、理事長や理事のように前面に立つことは少なく、
住民からは「総会で監査報告を読むだけの人」という印象を持たれがちです。

ところが、監事は管理組合の健全な運営を支える重要な存在です。

本稿では、監事の表向きの役割と、実際の現場で起きていることを対比しながら、その実像をお伝えします。

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1.表向きの役割:中立的な立場から会計と業務をチェックする

監事の役割は大きく次の二つに分かれます。
ここでは、ポイントのみ説明しますが、監事の詳しい役割については別のコラムでも解説していますので、そちらもぜひご一読ください。

▶コラム「よくわかる!マンション管理組合 監事の役割」

●会計監査
管理費や修繕積立金の収支が正しく処理されているかを確認します。

  • ・領収書と帳簿の整合性
  • ・契約内容と支払い内容の一致
  • ・高額工事の追加費用の妥当性

こうした点を丁寧にチェックし、住民の財産が適切に扱われているかを見極めます。

●業務監査
理事会の運営や管理会社の業務が契約通りに行われているかを確認します。

  • ・議事録の整備
  • ・理事会の開催状況
  • ・管理会社の報告内容
  • ・住民対応の質

表向きには、監事は「中立的な監査役」と説明され、総会で読み上げられる監査報告書も淡々とした内容です。しかし、実際の現場では、もっと複雑な力学が働いています。

2.裏側で起きていること:管理会社の思惑と、監事選任の”静かな誘導”

●管理会社は「波風を立てない監事」を望む

管理会社は管理組合から業務を受託しており、契約更新や評価に影響するため、理事会との円滑な関係を重視する傾向があります。
そのため、監事から詳細な確認が入ると、管理会社に追加説明や資料提示が求められることがあります。

例えば

  • ・請求書の不整合
  • ・理事会への報告漏れや、報告書の形式的な内容

こうした点を突っ込まれると、管理会社としては十分な説明体制が整っていない場合、対応負担が増すことがあります。
特に、金銭に関する不整合があると、信頼は大きく崩れる可能性があります。

●”意欲的ではない人”が監事に選ばれやすい理由

ここで表に出てこない重要なポイントがあります。
管理会社は、監事に”組合活動に積極的ではない人”を推薦しがちです。

なぜか。理由は非常に実務的で、かつ管理会社にとって合理的です。

監事は理事会の成立要件(出席者数)に含まれない
つまり、監事が積極的に参加しなくても理事会は成立する
監事が活動的だと、管理会社への質問や指摘が増える
逆に、消極的な監事であれば、管理会社にとって負担が少ない

このため、管理会社は「理事会に負担をかけず、波風を立てない人」を
監事候補として推薦する傾向があります。

もちろん、すべての管理会社がそうではありません。
しかし、現場では珍しくない”静かな誘導”です。

●理事会も「大きな問題にしたくない」心理が働く

理事会側も管理会社に依存しているケースが多く、監事が積極的に動くと、

  • ・管理会社との関係がぎくしゃくする
  • ・理事会の運営が複雑になる
  • ・不都合な点が表面化する
    といった懸念が生まれます。

結果として、監事の関与が限定的になりやすい雰囲気が、
管理会社と理事会の双方で共有されてしまうことがあります。

3.監事の葛藤:中立性を保ちながら”言うべきことを言う”難しさ

こうした力学の中で、監事はしばしば孤独な立場に置かれます。

  • ・指摘すべき点を見つけても、場の空気が重くなる
  • ・管理会社に質問すると、理事会が気まずい顔をする
  • ・理事会の判断に疑問を呈すると、「反対勢力」と見られる

監事は専門家ではないことが多く、会計や契約の知識が十分でないまま監査を行うプレッシャーもあります。
それでも、住民の財産を守るために、必要な確認を怠らない姿勢が求められます。

4.それでも監事が必要な理由

裏側にさまざまな力学があるからこそ、監事という”独立した目”が不可欠です。
監事が機能している組合は、

  • ・無駄な支出が減る
  • ・管理会社の業務品質が向上する
  • ・理事会の議論が活性化する
  • ・住民の信頼が高まる
    といった効果が期待できます。


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いかがでしたか。
管理組合の透明性は、マンションの資産価値にも直結します。
監事は目立たない役職ですが、マンションという共同生活の基盤を支える”最後の砦”です。
しかし、監事の役割を全うするには、経験や知識が必要となることも現実です。
そんな時は、マンション管理の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
マンション修繕なびでは、経験豊富な専門家をご紹介し、管理組合運営のサポートをしています。ぜひ一度ご相談ください。

黒木 淳
(マンション管理士)

大手マンション管理会社にてフロント担当者として勤務。
その後、独立系管理会社にてフロント業務のほか、管理組合支援業務として第三者管理業務、顧問業務を行う。
現在は、マンション管理の専門家として、管理組合が管理会社と対等な関係が築けるようサポートを行っている。

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