マンション修繕なびコラム 管理組合の委員会、活性化の具体策

2024.12.5

管理組合の委員会、活性化の具体策

大規模修繕工事に際して修繕委員会を設置した場合、具体的にはどのような活動を行うのかと質問を頂くことがあります。この記事では、委員会はなぜ必要なのか、また、委員会設置後にどのような活動を行うか等について考えてみたいと思います。


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1.修繕委員会はなぜ必要か

多くの管理組合では、理事は1,2年任期の輪番制となっているでしょう。輪番制と理事の立候補制度を併用して、一部の理事が理事会に長期間参加している組合もあるでしょう。

短期間の輪番制は、理事の負担は減りますが、一方で組合員が一貫して組合運営に携わることが困難で、組合の力が削がれていると感じます。特に、一年任期で理事全員が交代するマンションでこの傾向は顕著ですが、半数ずつ交代する場合も大きな違いはありません。このように人の入れ替わりが多い理事会は、重要かつ検討に時間を要する課題への取り組みが困難になってしまいます。

そこで、組合運営に一定期間関わる、理事会とは別の組織が必要となってくるのです。「修繕委員会」や「課題検討委員会」のような目的別の委員会の設置は、組合運営には不可欠と言えるのではないでしょうか。

▶大規模修繕工事時の委員会設置については、コラム「委員会を設置する」をご参照ください

2.委員会運営活性化の具体策

しかし委員会を立ち上げても、意識して運営しなければ、委員会活動は先細りになりがちです。では、委員会を設置できたら、その活動内容はどのようにするべきでしょうか。委員会活動は課題を検討する他、参加者を増やすこと、課題の具体化および広報活動の3点を継続して行うことが必要です。

①参加者(委員)を増やす

委員会の委員を増やすために下記のような運営方法を取ります。

  • ・委員就任は総会承認不要とし、常に新しい参加者を募る
  • ・必要があれば専門家を採用する
  • ・少なくとも1名は理事が委員に就任する
  • ・新しく所有者になった方などにも参加を呼び掛ける
  • ・来期の理事に委員就任を打診する
  • ・前期の理事に委員就任を打診する

委員には専門的な知識は必要ありません。就任へのハードルを下げ、委員の数を増やす活動を続けます。

②検討課題を具体化する

例えば、委員会で長期修繕計画書の見直しについて検討するとして、長期修繕計画とはそもそも何かを組合員の皆さんは理解できているでしょうか。マンション管理に特有で一般的にはなじみの無い問題については、具体化することが非常に重要です。特に、「修繕積立金」や「管理費」「各種使用料」など家計に直結する話題に紐づけて明示すると、組合員の認識も深まるでしょう。

例えば、

  • ・長期修繕計画書の改定と管理費の値上げ(値下げ)問題
  • ・機械式駐車場の取壊しと修繕積立金の値上げ(値下げ)問題

などです。

③広報活動を積極的に行う

参加者を募るためにも、組合員の関心引くためにも、委員会活動の広報を積極的に行う必要があります。

方法としては、

  • ・検討中の議題を常に広報する
  • ・審議の途中経過を公表する
  • ・変更内容や選択肢をオープンにして意見を募る
  • ・組合に関する記事などを、配布、掲示する
  • ・LINEグループやX(旧Twitter)で情報発信する

このように、様々な内容をあの手この手で広報します。

このほかにも、会議にはZoom等を活用することもお勧めです。

3.成功のポイントは「巻き込む」

残念ながら、委員会活動が短期間で活発になるという魔法の杖はありません。特に初期の委員会に求められるものは、一人でも多くの組合員を「巻き込む力」であるでしょう。 そして委員会活動に関心を持ってもらうためには、組合の置かれた現状や他の組合の情報、世の中の動向などを知ることが欠かせません。このため、勉強会の開催やセミナーへの参加も大切な委員会活動の一つです。

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いかがでしたか?
皆さんのマンションでも上記手法を用いて委員会活動を活性化してみてはいかがでしょうか。委員会の有無は、10年20年先の管理状況に大きく貢献することとなるでしょう。 マンション修繕なび では、無料セミナーを開催し、各種専門家が管理組合に必要な情報を分かりやすくご説明しています。セミナー後の交流会やセミナー参加特典もご用意していますので、理事会だけでなく委員会活動にもお役立てください。

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マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)

国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com

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