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2025年2月21日 配信
単年任期・全改選制理事会の問題点とその対策
こんにちは、マンション修繕なび 登録マンション管理士の大野です。
最近、任期1年で理事全員を改選(理事会の単年任期全改選制)する組合から多くのご相談が寄せられています。
お話を伺い実感するのは、単年任期・全改選制では、管理組合は弱体化を免れないということです。
そこで本日は、『単年任期・全改選制を採用する理事会の問題点とその解決策』について考えてみたいと思います。
単年任期・全改選制の問題点
理事・役員の任期を1年とし、理事会を毎年一新する組合は珍しくありません。組合員としては理事になっても1年だけ就任すれば任期が終わるため、受け入れ易い制度です。
一方、管理組合の運営という点においては、これには下記のような問題点があります。
管理組合の問題について、
●その経緯を把握できない
●重要課題を継続して検討できない
●深く議論することなしに決定を求められる
要するに、複数年に渡り理事会に関わる理事がいないために、課題発生の経緯や解決のための議論を尽くすことが困難になるのです。
例えば、管理会社から高額な工事の見積書が出されても1~2回の理事会で採否を迫られ、組合として有効な手立てを打つ暇がないというわけです。組合としての力が削がれている状況です。
取るべき対策
このように、管理組合弱体化を招く理事会の単年任期・全改選制に対しては、下記のような対策を講じるべきです。
●複数年任期・半改選制の導入
●理事留任、立候補制度の導入
●委員会を設置する
複数年任期・半改選制では、例えば任期を2年とし理事の半数を毎年改選します。この制度への移行は、理事の任期が2年になるなど組合員の負担感が高いため、同意を得ることが難しいかもしれません。
しかし、すでに見たような単年任期・全改選制の問題点を共有すれば、解決に向け協力が得られるのではないでしょうか。
私は、ご相談を受けた組合へ2年任期・半改選制度の導入をご提案しましたが、任期が倍になるということがネックで、制度変更ができなかった経験があります。対案として理事の留任・立候補制度の導入が採択されました。
※注意)理事の留任や立候補制度の導入には、特定理事の長期固定を回避するために、期間を限定するなど工夫が必要です。
また、委員会を設置した組合では、管理組合が抱える課題全般について継続的に協議し、主体的な組合運営に向けて踏み出し、上手く機能している例も多くあります。
長期的に検討を要する事項に関しては、複数年に渡り議論を尽くすことが重要です。委員会を立ち上げる制度の導入を検討しましょう。
改革のススメ
組合員の代表である理事が検討する時間が十分に確保できない制度では、組合の機能を果たすことは出来ません。
管理組合の運営を管理会社任せにせず、組合員自身が組合運営の主体であると自覚し、各課題に対して長期的に関わるよう制度設計し、課題解決に粘り強く取り組んでください。
この改革の有無で、10年、20年先のマンションの価値が左右されることになるでしょう。
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