2024.7.5
進む高齢化と積立金の値上げ ~令和5年度マンション総合調査から~
2024年6月21日、国土交通省より「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」が発表されました。
そこで、発表されたデータを基に、マンション管理の現状についてご説明します。
1.マンション総合調査とは
マンション総合調査とは、マンション管理に関し、これまでに講じられてきた施策の効果を検証したり、必要となる施策を提示するための基礎資料を得る目的で、国土交通省が5年毎に実施するアンケート調査です。マンションの管理状況および居住者の管理に対する意識等が調査されました。
調査地域 : 全国
調査実施期間 : 令和5年10月~令和6年3月
調査対象 : ① 管理組合向け調査 4,270管理組合 ② 区分所有者向け調査 8,540区分所有者
2.注目ポイント
①進む高齢化
平成15年度(2003年)調査に比べると、70歳代以上の所有者は10.2%から20年後の令和5年度(2023年)には25.9%と、他のどの年齢層より高い伸び率となっています。一方、30歳未満の所有者は13.2%から5.9%へと半減しており、若年層割合の減少も伴って所有者の高齢化が進んでいることが分かります。また、今回の令和5年度(2023年)調査では、所有者の53.7%が60歳代以上となっており、初めて半数を超えました。
②続く修繕積立金の値上げ
戸当たりの月額修繕積立金の額は右肩上がりに推移しています。前回調査(2018年)と比較すると、修繕積立金は1,811円/月値上がりしており、この値上がり幅は平成15-20年(2003-2008年)の値上がり幅1,832円/月に次ぐものであり、平成20年度(2008年)以降の15年間では最高額の値上がりとなりました。この、修繕積立金の値上がりは今後も継続すると推測されます。
③永住意識は右肩上がり
昭和55年度(1980年)の永住意識は21.7%でしたが、令和5年度(2023年)には60.4%と、3倍近くに高まっています。マンションは終の棲家として認識され、その役割を果たすよう求められていることが分かります。
3.新規に追加された質問より
置き配のルール化進まず
インターネットショッピングなどの個人宅配の増加に伴い、昨今は宅配荷物の「置き配」が進んでいます。しかし、置き配に関するルールを定めていない管理組合は86.0%と大多数で、規約や細則に「置き配」を定めて認めた組合はわずかに2.9%でした。
一方、規約や細則で置き配を全面禁止した組合は2.5%でした。トラブルになる前に、「置き配」に関して規約による定めが必要でしょう。
4.この20年間の変化
分譲マンションの管理状況と居住者意識の変化に関して、この20年間で一定の方向性が現れています。それは、所有者の高齢化、管理に要する費用の値上がり、永住意識の高まりです。費用が高騰しても終の棲家としたいと考える高齢の所有者が増えているのです。
このニーズを満たすためには、適切な修繕の実施で建物の保存を図り、修繕の発注時には相見積を取得するなど費用の圧縮努力を重ね、組合財政を安定させる必要があります。管理組合の管理能力向上が求められるのです。
いかがでしたか?
マンションの管理状況及び居住者意識の実態調査からは様々な課題が見えてきます。
全文は国土交通省のサイトよりご確認いただけますので、ぜひお読みください。
マンション修繕なび では、管理組合運営に関する様々なお役立ち情報をご提供しています。また、マンション管理に関する無料セミナーを毎月開催しています。情報収集の場としてぜひご活用ください。
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コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)
国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com
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