
2026.1.5
タワーマンションの大規模修繕は難しい?理由や費用を解説
タワーマンションの大規模修繕は、高さや規模、住戸数、特殊な設備などによって、通常のマンションにはない難しさがあります。
この記事では、タワーマンションにおける大規模修繕の工事内容や、通常のマンションとの違いを解説し、特有の課題である合意形成の難しさや工期の長期化、天候の影響、工事費の割高さについて紹介します。
また、費用相場や修繕の周期についても解説しています。
念入りに準備を進めて、タワーマンションの修繕をスムーズに進めましょう。
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1.タワーマンションの大規模修繕とは
大規模修繕とは、マンション竣工当時に備わっていた環境や機能を取り戻すための修繕工事です。中長期の視点で策定した長期修繕計画に基づき、マンションの建物や設備に対して修繕工事を行います。
経年劣化によって蓄積した建物や設備の不具合をなくして、マンションの資産価値や居住者の安全な暮らしを維持するのが目的です。
タワーマンションにおける大規模修繕の工事内容や、通常のマンションの大規模修繕との違いについて解説します。

【タワーマンションの大規模修繕工事内容】
タワーマンションにおける大規模修繕の工事内容は、大きく分けて以下3つです。
これらは、風雨や風雪、日照、高温低温などの過酷な環境にさらされた、建物の外側場所に施す工事です。
・防水
・塗装
・外壁
<防水>
防水工事は、屋上や外壁、ベランダおよび窓枠の外周など、開口部分で行います。
屋上防水の施工方法は、塗膜防水・シート防水・アスファルト防水があり、外壁は再塗装、開口部はシーリング材の再補填で防水します。
<塗装>
屋外階段や手すり、鉄製のフェンスや排水口なども大規模修繕で塗装を行います。
サビ止めのための防錆塗装や、風雨や紫外線および高熱に耐える耐侯耐熱塗装などがあります。
<外壁>
外壁材が吹き付けタイルなら、再塗装およびパネル同士を繋ぐシーリング材の再充填、焼成タイルなら、タイルが浮いた箇所を部分的に張り替えます。
クラック(ひび割れ)があれば、内部へ雨水を侵入させないよう補修材の注入や被覆などを行います。

【通常のマンションの大規模修繕との違い】
通常のマンションとタワーマンションの違いは、その高さと規模です。
<高さ>
そもそもマンションは、一般的に3階以上の建物のことを指しますが、タワーマンションは20階以上、高さが60mを超える超高層マンションのことを指します。この高さの違いによって施工の難易度や作業方法が大きく異なります。
タワーマンションの場合、高所作業が必須となるため、ゴンドラや移動昇降式足場など、複雑な作業足場を使用します。
また、タワーマンション特有の設備(エレベーターやセントラル空調など)や最新の設備がおおいため、修繕の技術的な難易度は高く、費用が高くなってしまいがちです。
<規模>
通常のマンションは住戸数や敷地がそれほど大きくなりませんが、タワーマンションは数百世帯を超えます。その分、建物の規模や敷地が巨大で、設備も特殊で複雑です。
大規模修繕工事の方向性(工事内容や工法・予算・期間など)を決定する合意をまとめるのが難しい側面もあります。

2.タワーマンションの大規模修繕が難しい4つの理由
タワーマンションの大規模修繕が通常のマンションよりも難しいといわれる代表的な理由は、以下の4つです。
・合意形成が取りづらい
・工期が長期化する
・天候の影響を受けやすい
・工事費が割高になりがち
合意形成を取りづらい
合意形成の難易度は住民数や価値観に左右されます。
住民数が多いうえに階数によって生活スタイルが異なるタワーマンションでは、工事内容・工法・予算などの合意形成が難しいといえます。
タワーマンションの場合、居住割合が少ないため投資物件の割合が多くなってしまいます。
その場合、投資物件を運用している方は基本的には管理費・修繕積立金のような管理に関わるランニングコストを抑えたいため、修繕計画予算に賛成ができないこともあります。

工期が長期化する
通常のマンションは数か月の工事期間が一般的ですが、タワーマンションは工事期間が1年近くかかる場合も珍しくありません。
その理由は、タワーマンションの場合、工事の際に足場をかけることは困難であるため、ゴンドラを使用するからです。これにより、動かせる幅がゴンドラに依存してしまうため工事区割りが細かくなり、工事期間も長くなってしまいます。

天候の影響を受ける
タワーマンションの高層部分は天候の影響を大きく受けます。状況が悪くなれば作業を中断するなど、天候によるスケジュール調整がたびたび起こります。
工事費が割高になることがある
通常のマンションの修繕費用は数千万円程度が一般的ですが、タワーマンションは数億円に達することもあります。
高層階では枠組足場が組めないため、屋上から吊り下げたゴンドラでの作業が必然になり、仮設工事費用が大きな負担になるからです。
また、エレベーターやポンプ、空調などの設備はタワーマンション用の特殊なものが多いため、通常のマンションよりも割高になります。

3.タワーマンションの大規模修繕にかかる費用相場
大規模修繕にかかる費用は、マンションごとに大きく異なります。
例えば30階と40階では戸数も総工事金額も異なり、駅直結かどうかにも影響を受けます。
ここまでで説明してきたように、タワーマンションの大規模修繕工事費用は通常のマンションよりも高くなってしまうのが一般的ですが、国土交通省が行った「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」をもとにしたマンションの大規模修繕工事費用の目安を見てみましょう。
調査結果によれば、大規模修繕の平均的な工事費用は以下の表のとおりです。
| 大規模修繕工事回数 | 戸あたり工事金額(万円/戸)の平均値 | 床面積あたり工事金額(万円/平米)の平均値 |
|---|---|---|
| 1回目 | 151.6万円 | 1.3万円 |
| 2回目 | 112.4万円 | 1.5万円 |
| 3回目 | 106.1万円 | 1.9万円 |

4.タワーマンションの大規模修繕を行う周期
マンションの大規模修繕工事の施工周期を10~15年に設定しているマンションが多くありますが、12~15年というのが一つの定説です。
国土交通省は、長期修繕計画の作成や見直しにおいて管理組合内の意思決定を行う際の指針として「長期修繕計画作成ガイドライン」を提唱しており、このなかで12年~15年という目安が書かれていることに由来します。
タワーマンションの場合でも、このガイドラインのとおりで施工周期は基本的に変わりません。そのため、このガイドラインの通りに修繕計画を進めましょう。
しかし、建築技術や素材の耐久性、設備の性能などの向上によって、マンションによってはもっと長い周期での施工が可能です。
現に、大手のデベロッパーや管理会社のなかには、周期を18年に延長する保証付きの修繕工事をする企業も出てきています。それに追随するような提案をする施工会社もみられます。
耐久性や安全性が担保されていれば修繕工事の頻度は下げられ、建物に費やすコストは抑えられるとあって、この傾向は今後もさらに続くでしょう。

5.タワーマンションの大規模修繕は念入りに準備しよう
大規模修繕工事のおもな内容は、防水・塗装・外壁・劣化した設備の取り換えです。
20階以上にもなるタワーマンションの高所作業にはゴンドラが必要であり、導入されている設備が特殊なため、工事費用が割高で総工事費も高額になります。
住戸数が多いことに加え、上層階と下層階で生活スタイルや価値観の違いによって、修繕工事の方向性を決める合意形成が難しいといえます。
劣化診断の結果や業界標準データの提示、資産価値向上の考え方など、組合員へ根拠に基づく丁寧な説明を行って理解を求めながら、大規模修繕計画の策定や工事の準備などを念入りに行いましょう。


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いかがでしたか?
少し憧れてしまうタワーマンションですが、住み続けるためには、いろいろな準備が必要そうですね。
タワーマンションの大規模修繕にあたっては、通常のマンションと勝手が違うことが理解できたと思います。それでもわからないことは、ぜひ専門家の方へ相談してみてください。
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