2024.10.9
大規模修繕工事における修繕委員会の設置
大規模修繕工事は、建物の機能だけでなく管理組合財政及び居住者の日常生活に影響を与える重大なイベントです。長期にわたるマンションの管理運営の中で数回発生し、乗り越えなければならないものです。
この記事では、大規模修繕工事を支える修繕委員会について、立ち上げ時期から取り組み方などをご説明します。
1.修繕委員会設置のメリット・デメリット
大規模修繕工事において修繕委員会を設置することは、より多くの組合員が工事に主体的に関わるという点において意義があります。委員会設置を契機に管理組合運営に関する関心を高めることが出来るかもしれません。一方デメリットは、様々な人が参加することで議論が脱線したり、意見が対立し議論が進まないなどの可能性もあります。このような時には、専門家を活用しアドバイスを受けることも推奨されます。
2.修繕委員会発足時期
修繕委員会の立ち上げは、大規模修繕工事の最初の一歩です。マンションの規模にもよりますが、工事開始の2~3年ほど前に発足させ、総会で承認を得るようにしましょう。こうすることで、総会お墨付きとなります。大規模修繕工事自体にも総会承認が必要ですので、2回の総会承認を鑑み、2年以上前の発足が推奨されるのです。委員の数は絞りすぎることなく、出来るだけ多くの組合員が委員会に参加できるよう工夫しましょう。また、専門家を修繕委員会に招いて、工事の進め方などを検討するのもよいでしょう。
3.委員が集まらない!ときに打つ手
多くの組合は人材不足に悩まされています。修繕委員会についても、単に「委員募集」のポスターを掲示するだけは、必要な人数を集められないかもしれません。そんな時は、過去の理事長経験者などを訪問して打診することをお奨めします。また、前期の理事や来期の理事などにも協力を要請してみましょう。
4.一部の委員だけの取り組みにしない
立ち上げた修繕委員会では、参加者一人一人の積極的な関与が大切です。一部の委員のみが発言したり、“声の大きな”委員に流されることのないよう注意しましょう。そのような委員会に対しては、不信感が生じ、大規模修繕工事に悪い影響を及ぼしかねません。
委員長は全員に発言の機会を提供し、全体が納得できる答えを導くよう努めます。どのようにすれば委員一人一人が主体的に参加できるかを、第1回目の修繕委員会で協議・検討しておくことをお奨めします。この意味で、初回委員会は非常に重要です。
5.協議内容を公表してマンション全体を盛り上げる
最後に、エレベーター内などの目につく場所に修繕委員会での協議詳細を掲示して、参加していない組合員にも公表しましょう。こうすることで、大規模修繕工事に取り組む自覚や雰囲気をマンション内に醸成していきます。館内が盛り上がれば、大規模修繕工事だけでなく管理組合運営全体によい影響をもたらすでしょう。管理組合にも成功体験が必要なのです。
いかがでしたか?
このように大規模修繕工事に向けた修繕委員会の存在は管理組合運営に非常に重要です。上記手法を用いて、皆さんのマンションでも委員会の設置を検討してみてはいかがでしょうか。次回以降のコラムで、修繕委員会発足後の運営方法や役割分担などを具体的にご説明します。
マンション修繕なび では、大規模修繕工事に関する様々な問題を解決するために、建築事務所やマンション管理士等専門家をご紹介しています。また、事前調査をクリアした工事事業者の中から複数の見積もりを取得し、適正な事業者選定をお手伝いします。大規模修繕工事成功のために、ぜひご活用ください。
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コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)
国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com
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