2024.7.5
管理費と機械式駐車場 ~なぜ管理組合会計から修繕費を出すのか問題~
都市部のマンションで導入が進む機械式駐車場。実は、この設備は管理組合にとって悩みの種の一つとなっています。利用料という収入をもたらすと同時に、修繕費用や再建築費用等高額の負担を強いるものでもあるからです。特に、昨今の車離れも相まって利用率が低下すると、管理組合の「金食い虫」となるのです。
そんな機械式駐車場の問題の核心「なぜ、使用していない人もいるのに、みんなで出し合う管理費や修繕積立金会計から修繕費を支出するのか」問題を本日はお話ししたいと思います。
機械式駐車場についてはこちらのコラムもご参照ください。
1.なぜ組合会計から機械式駐車場の修繕費が支出されるのか
多くの組合では機械式駐車場の利用料は管理費会計(一般会計)の収入として計上されます。利用料が管理費会計に占める割合は大きく、管理費会計の収入の40%以上を占める組合もあります。 このため、日常的なメンテナンスや修繕、電気代も管理費会計から支出されます。
一方、定期的に行われる大掛かりな部品交換や再塗装、再建築費用などは修繕積立金会計から支出されることが一般的です。
この大規模な支出を伴う修繕や再建築の際に、機械式駐車場を使用していない区分所有者から、「なぜ全員が資金を出し合う組合会計から、修繕や再建築費を賄うのか?!」と疑問の声が上がるのです。
2.駐車場の別会計化、メリットとデメリット
このとき議論になるのが「機械式駐車場の別会計化」です。利用料を管理費会計から独立させて積立てを行い、日常のメンテナンスや修理から大規模な部品交換まで、全ての関連費用を別会計化された積立から賄う方法です。利用料収入が全ての関連費用に不足する場合には、利用者が追加負担することになります。
この「機械式駐車場の別会計化」は、機械式駐車場の収支を正しく判断し、利用率の低下で採算が合わなくなった場合には利用料の値上げや撤去の議論を始め易くするなど大きなメリットがあります。また、別会計にした場合、修繕積立金会計の負担が軽くなるという点もメリットとして挙げられます。
一方、デメリットとしては、管理費会計を値上げしなければならなくなるという問題があります。先にご説明したように、機械式駐車場は、管理費会計の大きな収入源となっています。別会計化すれば、使用料収入を失い、管理費会計がたちまち赤字に陥る組合も多いでしょう。
また、別会計化しても共有する敷地を駐車場が使用していることから、敷地の使用料をどう考えるかなど解決すべき問題は残ります。
3.利用率の低下を見据えた運用が必須
なぜ、マンションの発売当初から「機械式駐車場の別会計化」が採用されていないのか。それは、機械式駐車場の使用料を管理費会計の収入に組み込めば、組合員が毎月支払う「管理費」を抑制できるからです。要するに、売る側の“売りやすさ”を追求した結果ともいえるでしょう。
「機械式駐車場の別会計化」には管理費の値上げの議論が避けられません。そうはいっても、“利用率は経年するほど低下”します。現実を踏まえて、傷口が広がる前に判断することが大変重要です。
いかがでしたか?
機械式駐車場から派生する問題はこのように複雑です。撤去するのか、使い続けるのか、別会計化するのか、難しい判断に迫られるかもしれません。
そんな時、マンション修繕なび なら信頼できる専門家をご紹介し、皆さんの課題解決をお手伝いします。初回無料でご相談できますので、ぜひ活用くださいね。
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