2024.10.24
ぜったい必要?!マンション管理計画認定制度
都道府県等による、「マンション管理計画認定制度」がスタートしています。認定に向けて取り組んでいる、または申請の必要があるかわからないなど、様々な管理組合があることでしょう。この記事では、「マンション管理計画認定制度」の概要をご説明し、どのような組合が認定取得を目指すべきかを考えたいと思います。
1.マンション管理計画認定制度とは
2021年に国が定めた「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」に基づき、「マンション管理適正化推進計画」を策定した都道府県等により始められたのが、「マンション管理計画認定制度」です。
この制度は、マンションの管理組合が自らのマンションの管理計画を、都道府県等の長に提出し、一定の基準を満たす場合、都道府県知事等による認定を受けることが出来る制度です。なお、この制度の認定更新は5年毎となっています。一度認定を受けたらそれで終わりというものではありません。
2.制度の狙い
制度の狙いは、「管理組合によるマンション管理の適正化に向けた自主的な取組の推進」です。
マンションを多く抱える自治体で“管理不全マンション”が増加すると、周辺地域の良好な住環境が脅かされかねません。そこで、適正な管理の取組をそれぞれのマンションに促すための仕組みが「マンション管理計画認定制度」です。管理不全に陥る兆候があれば都道府県等の長が助言や指導または勧告などを行うことができます。
3.制度利用数の現状
国土交通省によると、2023年9月現在、認定マンションの数は、累計198件となっています。全国の管理組合数はおよそ14万組合と推計されており、制度利用は極めて低い水準にとどまっている模様です。その一方で、認定数は増加傾向にあり、今後は増えると予想されています。
都道府県別認定件数では神奈川県が1位(52件)、東京都が2位(44件)となっており、この2つの都県で約半数を占めています。
4.制度を利用すべき組合とは
管理組合の理事から、「管理計画認定制度」について認定を受ける必要があるのか?との質問を頂くことがあります。結論から先に申し上げると、緊急性については管理組合ごとに異なるけれど、長い目で見れば、制度利用は有益だと思います。
では、どのような管理組合が緊急に「管理計画認定制度」の認定を受けるため取り組むべきか、それは下記のような組合です。
・理事長がいない、監事がいない、総会が開かれていない
・規約がない
・管理費と修繕積立金が明確に区分されていない
・長期修繕計画書がない
・長期修繕計画を長年更新していない
・修繕積立金の値上げが必要だが値上できていない ほか
要するに、管理組合の基本事項がクリアされていない組合は、認定取得を目標に諸問題を解決するよう推奨されるのです。
一方、上記のような事項がクリアされており、安定的に運営されている組合にとって、制度利用のメリットは現在の所少ないかもしれません。しかし、制度の狙いは「管理組合によるマンション管理の適正化に向けた自主的な取組の推進」です。申請作業を管理会社任せにせず、組合自らが制度を知り認定取得に取り組むことは、組合の主体性を育むということにおいて、大いに価値があるでしょう。
いかがでしたか?
まずは制度について詳しく知り、管理組合が認定基準をクリアしているか、どこがクリアできないのかを把握した上で、問題解決の手段として認定制度の活用を議論されてはいかがでしょうか。
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組合全体で理解を深めるために活用されてみてはいかがでしょうか。
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マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)
国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com
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