
2026.1.5
マンションの補修・修繕とは?改良や改修との違いを工事内容と合わせて解説
マンションに施す工事には、補修工事・修繕工事・改良工事・改修工事などの呼び名があって使い方を混同しがちですが、それぞれ異なった意味や目的があります。
また、マンションの工事には工事内容によって適した時期がありますが、現在の劣化状況や求められるニーズおよび予算によって、その時期に必要な工事内容は変化するものです。
この記事では、補修・修繕・改良・改修それぞれの工事内容を解説し、どの工事がどのような内容と目的を持っているのかがわかります。
また、劣化診断や大規模修繕の周期を把握することで、マンションの状況に応じた適切な工事を選ぶという重要性が理解できます。
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1.マンション補修や修繕とは
補修工事と修繕工事は、どちらも建物のメンテナンスを目的とした工事という点で共通しますが、目的や規模および頻度などにおいて異なります。
以下の表は、補修と修繕の意味・目的・相違点です。
| 種別 | 補修 | 修繕 |
|---|---|---|
| 意味 | 建物の一部に発生した軽微な損傷や不具合に対して行う工事 (例) ・外壁のひび割れ ・窓枠が壊れてしまった ・雨漏りがある など | 経年劣化など建物の機能や外観の劣化を元の状態に回復するために行う工事 (例) ・外壁全体の補修 ・防水処理 ・共用設備の取替 など |
| 目的 | ・建物の局所的な機能を応急処置として復旧 ・費用は比較的安く抑えられる | ・建物全体の耐久性や資産価値を維持するために計画的に実施 ・施工の目安は10~15年周期が一般的 |
| 相違点 | 規模:部分的で小規模 目的:応急的で局所的な問題解消 頻度:必要に応じて随時施工 | 規模:建物の大部分で大規模 目的:維持や回復を計画的に行う 頻度:数年ごと定期的に施工 |

2.補修・修繕・改良・改修の違い
マンションに施す工事には、主に以下の4つがあります。
・補修工事
・修繕工事
・改良工事
・改修工事
それぞれの工事の目的や内容の違いについて解説します。
補修工事とは
補修工事とは、建物の劣化した部分や破損個所を応急的に修理し、使用可能な状態に戻す工事を指します。
修繕工事のように、建物の性能や外観を新築時の水準まで現状回復させるのではなく、あくまで不具合がある箇所に限り、実用上問題のない程度までの回復です。
例えば、外壁のひび割れに対してモルタルや薬剤の注入もしくはコーティングを行ったり、鉄部自体を交換するのではなく、錆びた部分を研磨して防錆塗装を施したりします。
補修工事は中長期的な周期で行うのではなく、劣化や損傷の発見次第で随時施工するため、施工頻度は修繕工事よりも多いといえるでしょう。
補修工事は、施工範囲が小規模のため費用が抑えられ、住民への影響も最小限にとどまりますが、あくまで一時的な処置であり建物の性能や外観を完全には回復させられません。
劣化診断の結果、不具合が建物の深部や広範囲におよぶと分かった場合は、補修で対応するのではなく修繕工事を行う必要があります。
修繕工事とは
修繕工事とは、建物の劣化や損傷個所を修復し、建設当初の水準まで性能や外観を回復させる工事を指します。
修繕工事では、使用する材料は建築時と同じかそれに近いものを使って機能や見た目を新築時に近い状態に戻すといった、建物全体の性能を回復するのが目的です。
外壁塗装や防水工事、シーリング打ち替え工事、給排水管更新や交換工事などにより、建物の寿命を延ばすため、資産価値を維持することが期待されます。
大規模修繕工事は10~15年ごとに実施するのが一般的であり、建物の外周に足場を組んで建物や敷地の広範囲を修繕します。
大規模修繕では大がかりな足場や機材および人員を配置して大規模に行うため、コストが高額になり頻繁には行えません。
そのため、作成した長期修繕計画にある工事実施時期までに、必要な修繕積立金を貯留して実施に備えます。

改良工事とは
改良工事とは、建物の性能や見た目を建築当初よりも向上させ、資産価値を高める工事を指します。
改良工事では、居住者の生活スタイルや時代の変化にともなって高まるニーズを、工事の主旨として汲み取ってアップグレードを行います。
例えば、バリアフリー化や耐震補強、太陽光パネルと蓄電設備や断熱素材への刷新、最新セキュリティシステムの導入などです。
これにより、利便性やエネルギー効率、セキュリティ性能などが向上して居住者の満足度が高まり、客観的なマンションの人気にもつながるため、資産価値向上にも寄与します。
改良工事は建物の維持管理に必須の工事内容ではありませんが、マンションへ新たな価値を付加して魅力的な物件であることをアピールできるため、資産価値を維持するためには欠かせない投資といえるでしょう。
改修工事とは
改修工事とは、建物の劣化部分を修復する「修繕」と、性能や機能を向上させる「改良」を同時に行う工事を指します。
改修工事によって、機能性や利便性を建築当初の水準に戻すだけでなく、建物の付加価値を高めて居住環境をアップグレードできます。
例えば、外壁塗装を行う際に使用する塗料を、従来のものよりも耐候性・遮熱性・耐傷性などが高い塗料を使用する場合や、エントランス周りの修繕時に段差部分を取り去ってスロープを設置し、バリアフリー化を行う場合などです。
改修工事は、修繕工事と改良工事を同時に行うことでコスト削減をはかり、以前はなかったニーズの高い機能を持たせて資産価値の向上にも寄与します。

3.必要な工事を見極める方法
マンションに必要な工事を見極める方法とは、以下の2つです。
・建物診断の実施を行う
・大規模修繕の周期を把握する
マンションの劣化具合と工事が必要な時期を把握することで、適切な時期に無駄のない修繕工事を実施して、マンションの資産価値を効率的に維持向上できます。
建物診断の実施を行う
大規模修繕工事を適切に行うには、まず劣化診断を実施してマンションの劣化状況を正確に把握することが重要です。
たとえ防水工事の予定が数年先であっても、防水性能が低下して躯体に雨水が浸透していれば、モルタル内部の鉄筋が錆により膨らんで強度低下を招くと想定し、予定よりも早く施工するという賢明な判断が可能です。
逆に、想定よりも建物や設備の劣化が進行していないなら、修繕工事や設備の入替を数年先へ延ばして、時代のニーズを採り入れた改良工事に資金を充当することもできます。

大規模修繕の周期を把握する
マンションの大規模修繕工事は、10~15年の周期で行われることが一般的です。
また、国土交通省が策定した「長期修繕計画作成ガイドライン」には、以下の周期が推奨されています。
・鉄部塗装:5~7年周期
・屋上防水:12~15年周期
・外壁塗装:12~15年周期
・給水ポンプ取替:14~18年周期 など
しかし、修繕工事のタイミングや内容は建物や設備の劣化状況によって変化するものであり、劣化診断の結果によっては適切な周期よりも前後する場合があると想定して、予算を組む必要があります。
そして、予定されている工事に対して修繕積立金の貯蓄額が不足しているなら、早めに総会の議題に挙げて修繕積立金額の増額や一時金の徴収などを検討するとよいでしょう。

4.マンションの状況に合わせて適した工事をしよう
マンションの大規模修繕工事では、建物の状況や築年数、居住者のニーズなどに応じて適切な工事を選ぶことが大切です。
1回目の大規模修繕は通常の修繕工事で十分かもしれませんが、2回目以降の修繕時期には利便性や付加価値の向上につながる改良工事の視点も求められます。
建物診断の実施などで、必要な工事箇所や優先度を見極めることができ、限られた予算のなかから効果的な工事へと資金を集中させることができるので、ぜひ相談しましょう。

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いかがでしたか?
似たような言葉でも、意味が異なっているということが、お分かりいただけたでしょうか?
どの工事の優先順位を高めるかは、各マンションでしっかりと検討したいところです。
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