
2025.12.25
設備更新の費用目安一覧~この工事、いくらかかる?~
管理組合は、マンションの共用部分の維持管理をおこなう所有者の団体です。組合は、大規模修繕だけではなく設置されている施設や設備の更新を定期的に行う必要があります。
組合が所有する設備は、専有部(部屋内)にはない設備であるために、「どのくらいの費用がかかるのか見当もつかない」という方も多いのではないでしょうか。また、「どのような設備にいくら費用が掛かるのか、目安を知っておきたい」というご要望を頂きます。
この記事では、大規模修繕以外で行われる共用部分の設備工事と、その費用の目安をご紹介します。
マンションの規模や設備のグレードによって差はありますが、目安を知っておくことは、今後の組合運営に大いに役立つでしょう。
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1.共用部設備工事の種類と周期
大規模修繕工事とは別に行われることが多い共用部の設備工事には、次のようなものがあります。
| 種類 | 更新周期 |
|---|---|
| (水道)直結増圧ポンプユニット交換 | 15~20年 |
| 横行昇降式機械式駐車場の部品交換 | 10~20年 |
| 自動扉駆動部取替 | 15年前後 |
| インターフォン更新(親・子機) | 20年前後 |
| 火災報知器の更新 | 20~30年前後 |
| 照明器具の取替 | 20~35年 |
| 宅配ボックス取替 | 25~30年 |
| エレベーター更新 | 30年前後(籠・枠除く) |
| 受水槽更新 | 30年前後 |
| 玄関扉取替 | 30~40年 |
| 排水管更新 | 25~45年(管種による) |
更新時期は、設備の素材・使用頻度などにより大きく異なります。
また、設置場所によっても劣化度合いが異なり、取替時期に差が生じます。

2.費用の目安
ここでは、100戸規模の一般的なマンションをモデルに、各設備更新費用の目安をまとめています。
費用はマンションの規模や設備グレードによって大きく異なります。特にタワーマンションや高級仕様の建物では、汎用品ではなく特注品を採用している場合も多く、注意が必要です。
ほかにも、受水槽が地下に設置されているマンションでは、工事費が割増になるでしょう。設置されている場所により費用は大きく異なります。
100戸のマンションのモデルケース(税別)
| 種類 | 更新周期 |
|---|---|
| (水道)直結増圧ポンプユニット交換 | 300~500万円 |
| 横行昇降式機械式駐車場の部品交換 | 2,000万円前後 |
| 自動扉駆動部取替 | 45~60万円 |
| インターフォン更新(親・子機) | 1,800~2,500万円 |
| 火災報知器の更新 | 700~1,000万円 |
| 照明器具の取替 | 300~500万円 |
| 宅配ボックス取替 | 100~200万円 |
| エレベーター更新 | 1,000万円前後 |
| 受水槽更新 | 800~1,200万円 |
| 玄関扉取替 | 1,500~2,500万円 |
| 排水管更新 | 5,000万円~1億円 |
また、更新の際に不要な機能や性能を省くことで費用を抑えることも可能です。たとえば照明器具は汎用品を採用する、インターフォンは不要な「機能」を省く、などの工夫です。
玄関扉の更新を検討していたある組合では、勧められるままに最高グレードの扉を採用しようとしていました。このとき、「修繕積立金が値上げになってもいいのですか?」という私の問いに、理事のみなさんはハッとされ、現状と同等の製品を選択されたことがあります。検討を行う理事会は、組合の財政状況を知り、冷静な判断を下す必要があります。
更新時に使用を中止できる設備については
▶コラム『その設備、次も本当に要りますか?』※コラム公開されたらリンクを貼る※

3.長期修繕計画見直しと見積取得
長期修繕計画書を確認することでも、共用部分の更新費用の見込み額を把握できます。ただし、10年以上見直しを行っていない組合や、実際の工事費と計画額に大きな乖離がある組合では、長期修繕計画書の見直しが必要です。
事故や故障で設備の使用が急に停止する事態を防ぐためにも、予防保全の視点を持つことが大切です。更新時期が近づいたら、複数業者から相見積もりを取得し、妥当な価格で発注できるよう準備しましょう。
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4.まとめ
ここで紹介した設備以外にも、マンションには多くの共用設備が存在します。こうした更新費用を計画的に抑え、修繕積立金の大幅な値上げを回避することは、マンションの資産価値を守ることにつながります。
工事時期と費用の目安を把握し、発注の際には必ず相見積もりを取得しましょう。必要に応じて、設計事務所の建築士など専門家へ相談することも重要です。
このような能動的な取り組みが、これからの管理組合運営には欠かせません。

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いかがでしたか?
設備の更新時や費用の目安を掴んでいただけましたか。
組合財政は有限です。組合自らが機種選定や相見積もりを行い、支出の削減を行う時代がすでに始まっています。
マンション修繕なびでは、相見積もりの取得や信頼できる専門家とのマッチングサービスで管理組合の修繕や管理をサポートしています。
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マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)
国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com
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