2024.3.15
どうする?どうなる?マンションの機械式駐車場
マンションの機械式駐車場でお困りですか?
都心部のマンションでは、パレットが水平と垂直に動いて車を出し入れする「昇降横行式」と呼ばれる機械式駐車場が広く採用されています。
機械式駐車場の利用契約が満車に近い場合は、利用料が組合会計の収入となり、マンションの財政にプラスとなります。しかし、電気系統の修理、部品交換、錆止め塗装等の維持費が相当程度かかるため、利用率が下がると、修理・維持費が使用料収入を上回り、管理組合の会計を圧迫することになりかねません。
このため、機械式駐車場の利用率低下が見込まれる場合、管理組合は早めに対応策を検討すべきです。では、対策ごとにメリット・デメリットを考えてみましょう。
実際には、一度に全撤去することはせず、この対策のうち複数を経て、機械式駐車場の全撤去に至る組合が多いでしょう。
いつ取り掛かかるのか、見極めが非常に重要です。
次に、機械式駐車場の耐用年数から将来を考えてみましょう。機械式駐車場の寿命は一般的に15-30年とされています。多くの管理組合の長期修繕計画書には築30年辺りに機械式駐車場の全撤去と再建築のための支出が予定されているでしょう。この予定金額は規模によっては億を超える場合もあり、非常に高額です。また、新築時に40才で購入した場合、30年後には70才となっています。早晩、運転免許返上する年齢を迎えます。車の所有率も低下が見込まれるでしょう。
あるマンション管理組合では、築30年で、既存の機械式駐車場の全撤去&再建築を、それも15年リースで実施すると決議されました。「故障が発生しない機械式駐車場がほしい」という一部所有者の強い要求が通ったためです。しかし、本来であれば、機械式駐車場は16年目頃から修繕が頻発する事実と、その頃には高齢化したマンション所有者に駐車場の需要がどの程度あるか等将来の見通しに基づく十分な議論を経て決定する必要がありました。
このマンションでは、「駐車場の有無はマンションの価値を左右する」という主張もなされましたが、昨今のマンション価格を左右するのは修繕積立金の金額です。立派な駐車場があっても高額な修繕積立金が課せられるとなれば、マンションの市場価値は下がることとなるでしょう。
このように、対応策が難しい機械式駐車場の取り扱いですが、マンション修繕なびを使えば、撤去費用の相見積もりを簡単に取得できるほか、専門家からアドバイスを得ながら所有者の意見を集約することもできるでしょう。 決定を急ぎすぎず、かつ手遅れになる前に、まずは理事会や総会で問題提起することから始めましょう。
マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)
国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com
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