
2025.12.25
マンション管理組合の設備更新ガイド~その設備、次も本当に要りますか?~
マンションには、日常生活を快適に保つためのさまざまな設備が設置されています。例えば、機械式駐車場やエレベーター、ごみ貯留・排出機など、設備の種類はマンションごとに多岐にわたります。
これらの設備は日常的な点検を必要とし、修理費用もかさみます。
当然、更新の時期が来れば高額な交換費用を要します。
設備の中には、廃止や変更が行えるものがあり、更新時にはそれらを議論する必要があります。なぜなら、高額な費用をかけて取り替えてしまうと、その後数十年間は廃止や仕様変更の機会を失ってしまうからです。
この記事では、管理組合が所有する設備の更新時に「廃止」などを検討することの重要性についてご説明します。
※改正区分所有法は2026年4月1日に施行(実際の運用開始)されます。
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1.マンションの設備
日常生活の中では意識されにくいものの、マンションには多様な設備が設置され、快適な生活を支えています。生活の利便性が高まる一方で、維持管理や更新にかかる費用も増加する傾向にあります。
〈マンションに設置されている設備の例〉
機械式駐車場
ロボットゲート(チェーンゲートなど)
エレベーター
ごみ貯留・排出機
インターホン
防犯カメラシステム
消防設備
給排水設備、受水槽・高置水槽
共用部空調設備
宅配ボックス
自動ドア・シャッター
大浴場、フィットネスジムの設備

2.更新時期に廃止を選択できる設備とは
更新時に廃止や変更が可能な設備には、次のようなものがあります。

ある組合では受水槽の更新時期に、受水槽を用いた給水設備を廃止し直結増圧方式の給水方式に変更した場合の費用対効果を試算しました。シミュレーションの結果、給水方式変更に要する費用は10年で回収できると判明。また、受水槽の撤去で、場所の有効利用も可能なことから、変更することを決定しました。
この組合のように、廃止や変更を検討する際には費用対効果についてシミュレーションを行う必要があります。組合独自で行うことが難しい場合は、設計事務所等専門家の活用が推奨されます。
▶コラム『知ってる?マンションの給水方式』
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3.設備の廃止と組合財政
多くの組合では、設備の維持は組合財政の負担となっています。設備が多い組合ほど管理費や修繕積立金は高くなり、高経年するほどに負担は増す傾向にあります。
特に次のような状況が見られる組合は要注意です。
・高いコストの設備を漫然と維持している
・組合会計が慢性的な赤字に陥っている
・支出の削減を行わず、管理費・修繕積立金の値上げを議論している
これらに当てはまる組合は、設備更新のタイミングで廃止を含めた議論を行うことが財政健全化への第一歩となるでしょう。

4.更新だけが正解じゃない!”なくす勇気”が組合を救う
マンションを購入するときに重視した施設や設備は、早晩「マンションの負債」に変貌する可能性が高いでしょう。光熱費などのコストが上がっているうえに維持・管理する人件費も高騰しているからです。
一方で、その設備の存在が決め手となりマンションを購入したという所有者もいるでしょう。恩恵を受けている組合員も多いかもしれません。このため、短期間の話し合いで安易に廃止を決めることは避けるべきです。
私が提案しているのは、「特別な支出がない間は活用し、高額な支出が必要となったときに廃止を検討する」という方針をあらかじめ組合で話し合っておくことです。
早い段階で議論を始め、将来の「手放す時期」見据えることで無駄な支出を抑え、所有者間のもめ事を減らすことができるのです。

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いかがでしたか?
皆さんのマンションではどのような設備が設置されていますか。
それぞれの更新時期や費用を長期修繕計画で確認し、組合財政を踏まえて「本当に必要か」を、今から話し合うことをおすすめします。
マンション修繕なびでは、相見積もりの取得や信頼できる専門家とのマッチングサービスで管理組合の修繕や管理をサポートしています。
設備の更新時だけでなく、廃止にかかる費用の相見積もりにも活用できます。ぜひ無料相談をご活用ください。

マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)
国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com
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