2024.12.26
自主管理は可能?マンション管理会社の役割
マンション管理は本来、管理組合が主体となって行うことが求められますが、管理業務は多岐にわたり、なかには法律の知識や設備の専門的な知識が必要になるため、実際には管理業務を管理会社に委託しているマンションがほとんどです。 今回は、管理会社に委託している具体的な業務について解説します。
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1.管理方式の違い 【自主管理方式】と【管理委託方式】
まずは、自主管理方式と管理委託方式の違いや特徴について解説します。
平成30年に行われたマンション総合調査では、自主管理をしていると回答した管理組合は9%で、一部委託を含めた管理委託方式が85%、残りの6%は不明という結果でした。
10戸~20戸程度の小規模マンションや、住民間のコミュニケーションが活発なマンション、管理費用は少しでも抑えたいという意見の多いマンションでは自主管理が向いているといえるでしょう。一方で、一定規模以上のマンションでは、金銭の管理や住民間のトラブル対応など、管理委託方式を採用するメリットが大きくなります。
【自主管理方式】
自主管理方式は管理会社に業務を依頼せず、管理組合員(区分所有者)自らが管理を行う方式です。管理会社への委託費が不要になるため、管理費が割安になることや、組合員自身で管理を行うため、管理に対する意識が向上するなどのメリットがあります。
一方、マンション内のトラブル解決や、金銭の管理などもすべて組合員自身で行う必要があるため、組合員が管理業務に労力と時間が割かれ、理事の成り手不足や心理的負担が大きくなるといったデメリットもあります。
【管理委託方式】
管理業務を管理会社に委託する方式です。管理業務全般を委託する全部委託方式と、管理業務の一部のみを委託する一部委託方式がありますが、ここでは全部委託方式について解説します。
管理業務全般を管理会社に委託するため、管理会社のサポートが受けられ組合員の負担が大幅に軽減されます。また、緊急時の対応なども迅速に行われることがメリットです。一方で、費用負担は自主管理方式に比べ大きくなることや、管理を管理会社に任せることで、マンション管理を他人任せにしてしまうことなどがデメリットといえます。
2.管理会社の仕事
管理会社に委託する業務は、大きく以下の4つがあげられます。
①事務管理業務
事務管理業務は、基幹事務と基幹事務以外の業務に分類されます。基幹事務を含む管理業務を行うには、マンション管理業者として国土交通省への登録が必要で、基幹事務を一括して再委託することはできません。具体的には、収支予算・決算案の素案の作成、収支状況の報告、管理費等の収納、未収金の督促などがあります。
基幹事務以外の業務には、理事会や総会の開催、運営支援、議事録案の作成や、組合員名簿の作成などがあります。 これらの業務は、フロントと呼ばれる管理担当者が管理組合の窓口となり対応します。
②管理員業務
管理事務室にて従事し、訪問者の受付や対応を行います。また、建物の巡回や点検や修繕作業の立ち合いを行います。次に解説する、清掃業務の日常清掃業務を兼務することも多くあります。
③清掃業務
日常清掃と定期清掃業務に分けられます。
日常清掃は、管理員や清掃員が、日々マンションの共用部の清掃を行います。
定期清掃は、専用の機械(ポリッシャーや高圧洗浄機など)を使用した床面の清掃、高所の清掃などを、定期的(年に数回)に専門業者が行います。
④建物・設備管理業務
マンションの建物、エレベータ、消防設備、給排水設備、電気設備などの法定点検や保守点検を行います。また、建物の定期的な巡回点検や、排水管清掃なども行います。
各種の法定点検や保守点検は専門業者が行い、建物の点検などは管理会社の技術担当者が行います。
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今回は管理会社の業務内容を紹介しました。
多くの業務がありますが、必ずしもすべての業務を管理会社へ任せる必要はありません。実際に、清掃の頻度を見直して自分たちで定期清掃を行ったり、管理員の勤務時間を減らしたりするなどの見直しを行っているマンションもあります。管理会社への委託業務を見直すことで、管理費の見直しにもつながりますし、マンションに対する意識も向上するでしょう。
しかしながら、管理委託費が相場と比べて高いのか、安いのか判断することは極めて困難です。管理委託契約の問題点のチェックや業務内容の解説など、自分たちだけでは検討が難しい場合は、マンション管理士等、外部の専門家を活用する方法もあります。
黒木 淳
(マンション管理士)
大手マンション管理会社にてフロント担当者として勤務。
その後、独立系管理会社にてフロント業務のほか、管理組合支援業務として第三者管理業務、顧問業務を行う。
現在は、マンション管理の専門家として、管理組合が管理会社と対等な関係が築けるようサポートを行っている。
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