
2025.12.25
「改正マンション関係法」に関する全国説明会レポート

2025年11月10日に大阪国際会議場で開催された「改正マンション関係法に関する全国説明会」に参加しました。
会場の定員は500名。事前予約で満席となる盛況ぶりで、改正法への関心の高さがうかがえました。
昨今、空き家・高齢化・担い手不足などにより管理不全マンションが増加し、社会問題化しています。今回の法改正は管理組合の意思決定に多大な影響を与える改正が含まれており、学ぶ必要があると判断されたため、多くの参加があったものと思われます。
本記事では、法改正の趣旨だけでなく、今後の施行スケジュール、ガイドライン策定状況などを含む、説明会の内容とポイントをご紹介します。
▶動画で解説『マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法を徹底解説』
【前編】 【後編】
※全国説明会についての国土交通省発表はこちらをご参照ください。
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1.『改正マンション関係法』とは
2025年5月、区分所有法を含むマンション法令の改正が可決成立しました。実に23年ぶりとなる今回の改正は、マンションの「管理」と「再生」双方に大きな影響を及ぼす重要な内容となっています。
改正された法律等には下記のものがあります。
・区分所有法
・マンション管理適正化法
・マンション建替え円滑化法
・その他、関連する政令・省令等
▶動画で解説『区分所有法で何が変わる?”出席51%”時代の必勝運営法』
2.法改正の背景と改正の3本柱
今回の法改正の背景として、管理組合が直面する「2つの老い」、つまり”建物の老朽化”と”所有者の高齢化”が挙げられています。この「2つの老い」がマンションの適正な維持管理を困難にしています。
今回の法改正では、適正管理を推進すべく、大きく3つの改正がお行われました。
〇管理を円滑に行うための法改正(施行2026年4月1日)
〇再生を円滑に行うための法改正(施行2026年4月1日)
〇地方公共団体の取組の充実(施行2025年11月28日)
なかでも、皆さんに最も影響を及ぼす改正は「管理を円滑に行うための法改正」でしょう。
「管理を円滑に行うための法改正」について詳しくは、
▶コラム『解説!改正区分所有法』をご覧ください。
法改正の背景と概要について
▶国土交通省「マンション標準管理規約」を改正します

3.新区分所有法と管理規約
法律の改正を受け、管理規約の変更を検討されている組合も多いのではないでしょうか。説明会では、10月に改正されたばかりの標準管理規約についても解説がありました。
重要なポイントは、「新区分所有法に抵触する規約は、施工日から効力を失う(無効となる)」点です。組合の管理規約改正が法律施行に間に合わない場合でも、新法に則った組合運営が必要になります。
管理組合において、特に規約変更が必要な項目は以下の3つです。

また、施工日までに注意が必要なものは、総会の招集時期と新旧法律の関係です。
例えば、総会通知が2026年3月31日に配布(送付)される議案には、現行法が適用されます。一方、2026年4月1日以降に配布(送付)される議案には、新法が適用されます。
| 通知日 | 適用法律 | 例 |
|---|---|---|
| 現在~2026年3月31日 | 現行法 | 区分所有者数および議決権数を母数とする多数決 |
| 2026年4月1日 以降 | 新法 | 出席を母数とする多数決(一部議案の除く) |

4.進むマニュアル等の再編・更新
今後は、マンション再生等に係るマニュアル等も再編成後、更新、新規作成が予定されています。
| マンション再生実務マニュアル | 建替え編(更新)、一棟リノベ編(新規) |
| マンション売却実務マニュアル | 更新 |
| マンション除却事業の解説 | 新規 |
| 改修によるマンション再生手法に関するマニュアル | 統合 |
| 団地型マンション再生等マニュアル | 統合再編 |
| 被災マンションの再生等の解説 | 新規 |
| マンション再生事業等に関する認可等マニュアル | 認可権者向け(新規) |
| マンション再生に係る事例集 | 新規 |

5.まとめ
今回の法改正は、これまで4分の3以上の賛成を必要とする議案の成立が困難であった組合には朗報といえます。規約を改正していなくても、参加者を母数とした多数決で重要議案を決議できます。法改正を機に適正な組合運営を推進してください。

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いかがでしたか?
2025年秋に開催された「改正マンション関係法に関する全国説明会」
内容の一部とポイントについて、ご説明いたしました。
本記事でご紹介した内容以外の改正内容についても触れられていますので、詳しくは説明会資料をご参照ください。
マンション修繕なびでは、毎月開催されるセミナーのほかにも、動画、コラム、参考資料など、管理組合が必要とする情報が網羅されたサイトを構築し、管理組合の「?(ハテナ)」にお答えしています。
皆さんの組合運営に、ぜひご活用ください。

マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)
国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com
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