マンション修繕なびコラム 大規模修繕工事における住民説明会の重要性~計画段階から着工前までの「対話型プロセス」のつくり方~

2025.9.22

大規模修繕工事の内容 外壁工事編~マンション外壁仕様と修繕周期・長寿命化への対応~

大規模修繕の工事内容について、今回は外壁工事について解説します。
マンションの外壁は、美観、耐久性、防水性といった機能面を担い、建物全体の価値を左右する重要な要素です。大規模修繕工事においては、外壁の仕様ごとに適したメンテナンス方針と修繕方法を検討することが欠かせません。

今回は、マンションに多い外壁仕様である「タイル貼り仕上げ」と「吹付け塗装仕上げ」それぞれの特徴と修繕方法を整理するとともに、修繕周期の変化についても解説します。


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1.タイル貼り仕上げ

都市型マンションを中心に広く採用されているタイル貼り仕上げは、意匠性と耐候性に優れ、外観にも重厚感を与えます。一方で、経年によって接着材が劣化し、タイルの浮きや剥落のリスクが生じます。

1-1.一般的な耐用年数と診断サイクル

タイル自体は30年以上の耐久性がありますが、落下リスクを考慮すると10~12年ごとの打診調査は不可欠です。築年数の経過に伴い、打診検査の実施が義務となるケースもありますので注意が必要です。

1-2.主な修繕方法

・打診棒や赤外線による浮き調査
・軽微な浮きは樹脂注入による補修
・剥落部はタイル張り替えまたは落下防止措置(ピン固定、ネット設置)
・仕上げに撥水処理やクリア保護材の塗布を加えることで美観維持が可能

診断と補修を定期的に繰り返すことで、30年を超える耐久性能を最大限に活かすことができます。

2.吹付け塗装仕上げ

吹付け塗装仕上げは、施工性やコスト面で優れており、管理のしやすさから多くの物件で採用されています。

2-1.一般的な耐用年数と塗料選定の影響

従来は10~15年程度で塗膜の再施工が必要でしたが、近年は高耐久型塗料(超低汚染塗料、遮熱機能付き塗料など)の登場によって、18年を見据えた修繕周期も検討可能になっています。高品質塗料を選択することで、耐用年数は15〜18年、場合によっては20年に達する例もあります。

2-2.主な修繕方法

・既存塗膜の高圧洗浄・ケレン(既存塗料の剥離作業)
・クラック部の補修(Uカット・シール充填)
・3層塗り(下塗り・中塗り・上塗り)の標準施工
・長寿命化を狙った材料選定により、次回修繕までの期間が延伸可能

高耐久塗料は単価が高い傾向がありますが、修繕サイクル全体で見ればトータルコストの抑制につながる可能性があります。


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いかがでしたか。
マンションの外壁工事では、仕様ごとの劣化特性と修繕技術を正しく理解し、それに応じた塗料・工法を選定することが重要です。
タイル貼りは点検頻度によって安全性と美観を保ち、塗装仕上げは高性能塗料の活用によって修繕周期の見直しが可能になります。
マンション修繕なびでは、設計事務所の紹介や相見積サービスを行っています。マンションにとってベストな工法を決定するためにも、外部の専門家の活用を検討される際はぜひご相談ください。

黒木 淳
(マンション管理士)

大手マンション管理会社にてフロント担当者として勤務。
その後、独立系管理会社にてフロント業務のほか、管理組合支援業務として第三者管理業務、顧問業務を行う。
現在は、マンション管理の専門家として、管理組合が管理会社と対等な関係が築けるようサポートを行っている。

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