マンション修繕なびコラム 普通決議と特別決議

2025.4.9

普通決議と特別決議

あなたのマンションは特別決議が出来てますか?

マンションの意思決定のプロセスでは、必ず総会において決議を行うことになります。特に、重要な意思決定が必要な場面では「普通決議」と「特別決議」という2つの種類の決議方法が存在することはご存じでしょうか。

今回は、「普通決議」と「特別決議」の違いについて解説します。
マンション管理の質を判断するポイントにもなる内容ですので、ぜひご一読ください。
なお、「特別決議」には、法律で定められた絶対的な決議事項と、規約で組合ごとに定められる決議事項があります。

是非この機会に、皆さんのマンション管理規約についてもチェックしてみてください。


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1.普通決議とは?

普通決議は、マンション管理組合の比較的日常的な事項についての決定方法です。マンション標準管理規約では、「出席組合員の議決権の過半数で決する。」とされています。

例えば、共用部分の修繕や管理費の予算など皆さんが毎回の定期総会などで触れている議案は普通決議であることが多いかと思います。

2.特別決議とは?

特別決議は、マンション全体に大きな影響を与える重要な事項についての決定方法です。特別決議ではより高い割合の賛成票が必要とされ、管理規約の変更や共用部分の変更(共用施設の利用目的を変えるなど)を行うためには特別決議による決議が必要となります。

マンション標準管理規約では、規約の変更や共用部分の変更は組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の賛成が必要とされています。また、マンションの建て替えや敷地売却については、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上の賛成が必要とされています。

3.なぜ特別決議が必要なのか?

特別決議が必要とされる理由は、組合員全体にとって大きな影響を及ぼす意思決定に対して、組合員の合意を確保するためです。

普通決議のみですべての事項を決議できてしまうと、マンションのルールである管理規約が頻繁に変更され混乱したり、一部の組合員の意向に偏った変更がされたりするなどのリスクも発生します。

特別決議によって、組合員の意見を幅広く取り入れ、マンション全体の利益を考慮した適切な決定を行うことを目指すものです。

4.特別決議に関するトラブル事例

特別決議は、適切な意思決定を行うための重要な仕組みである一方、普通決議の出席組合員の過半数とは異なり、組合員総数及び議決権総数の4分の3以上の賛成が必要といったハードルの高さから特別決議が出来ないケースもあり、組合運営が滞ることにもつながっています。

近年では、相続や投資目的での取得など、組合員がマンションに居住しないケースも増えてきています。そうした組合員は、おのずと組合運営への意識は希薄となり、総会への出席はもちろん、決議事項への賛否の意思も出さない場合があります。また、実際に居住している組合員と投資目的で所有している組合員では、マンションの管理方針にも違いが出てくることになり、より特別決議が難しくなる要因となります。

実際に、総会を開催しても組合員の半数程度しか出席せず、規約を変更したくてもできない。機械式駐車場の撤去をしたくてもできない。など現実的な問題が発生しています。

5.特別決議ができるマンションの特徴

そんな中、特別決議をしっかり通して、組合運営が円滑に行われるマンションには、以下のような特徴があります。

(1)積極的な組合活動への参加

組合員が積極的に組合活動に参加し、意思決定に関与する姿勢があるマンションは特別決議がスムーズに行われます。総会の出席率が100%に近い状態を維持するマンションもあります。

(2)理事会と組合員の信頼関係
理事会と組合員の間に信頼関係が築かれていることは、特別決議の成功に大きく寄与します。適切な情報共有や意見交換を行い、組合員の声を反映させた理事会運営を行うことが重要です。


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今回は、普通決議と特別決議の違いについて解説しました。
特別決議はマンションの重要な意思決定手段であり、その実施には組合員全体の理解と協力が不可欠です。
一方で、特別決議が出来ないといったことが起きた場合は、マンション管理運営に問題が潜んでいる可能性があります。
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黒木 淳
(マンション管理士)

大手マンション管理会社にてフロント担当者として勤務。
その後、独立系管理会社にてフロント業務のほか、管理組合支援業務として第三者管理業務、顧問業務を行う。
現在は、マンション管理の専門家として、管理組合が管理会社と対等な関係が築けるようサポートを行っている。

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