長期修繕計画書、見直しポイント3選　～長期修繕計画書をカスタマイズ！～

近年、マンション管理において長期修繕計画書が話題に上ることが増えました。資材や工事費の高騰を受け修繕積立金値上げが俎上(そじょう)に上るため、修繕積立金の根拠資料である長期修繕計画書がクローズアップされるようになったのです。

長期修繕計画書は、マンションの実情に合わせ作り替えるべき書類です。この記事では、長期修繕計画書をカスタマイズするときのポイントをご説明します。

1.長期修繕計画書、1番の疑問点は？

まず、長期修繕計画書に関して最も多く寄せられる「問い」は、本当にこの内容以外にあり得ないのか？というものです。多くの組合では、長期修繕計画書は管理会社が作成し、「これが皆さんの長期修繕計画書」ですと引き渡されることがほとんどです。そのため、組合自ら内容の確認や改定を行う必要があるという認識が薄く、その内容がよく理解されていることも稀です。

管理会社が作成する長期修繕計画書を基に修繕積立金の算出をされ、積立金値上げを求められても腑に落ちない・・・となるのです。

2.見直すべきポイント3選

とは言え、長期修繕計画書を組合が一から自力で作成するには、マンションの修繕に詳しい設計事務所に依頼するなど、費用も労力も掛かります。

そこで、組合の財政や設備運用状況に合わせて、まずは自分たちで長期修繕計画書を見直すことが推奨されます。見直しのポイントは下記の3点です。

①大規模修繕工事周期
②サッシ(窓枠)の更新
③機械式駐車場の更新

3.見直しポイント①＜大規模修繕工事周期＞

まず、大規模修繕工事の実施周期について確認しましょう。昨今、改修工法や資材の改良が進み、およそ15年周期で行われることが増えています。12年毎に実施するという思い込みを捨て、周期を伸ばすことを検討してください。ただし、実際の建物の状況により周期を伸ばすことが出来ない場合もあります。建物診断調査の結果などをもとに、判断することが必要です。

4.見直しポイント②＜サッシ(窓枠)の更新＞

次に、築30~40年でサッシ (窓枠)の更新工事が予定されていませんか？マンションの窓枠は共用部に含まれ、全戸の窓枠取り換えを計画し、高額な工事が予定されていることがあります。

修繕積立金が潤沢であれば、全交換してもよいかもしれません。そうでない場合は更新する範囲を限定する、もしくは窓枠を共用部から専有部へ変更するなどを検討してくだい。窓枠が専有部となれば、部屋の所有者の判断と費用で更新することになり、長期修繕計画から外れます（管理規約の改定が必要）。

5.見直しポイント③＜機械式駐車場の更新＞

機械式駐車場を所有する組合は、この設備についても見直しを検討することができます。近年では車の保有率が低下しており、機械式駐車場を撤去してカーシェアを導入する組合も出てきています。もし、築25～35年頃に「撤去・新築」が予定されているなら、駐車場契約率を考慮しながら、全撤去、一部撤去、部品交換などで対応し、再建築を避ける道を選べばその分費用を削減できるでしょう。機械式駐車場のメーカーや設計事務所からのアドバイスを得ながら慎重に検討を進め、長期修繕計画書に落とし込んでいきます。

6.見直し後は修繕積立金改定の必要性を確認する

上記3点を見直した上で、長期修繕計画書を更新し修繕積立金額を算出します。更新しても積立金が不足すると判明すれば、値上げを行います。この手順を踏むことで改定の経緯が明らかになり、積立金の値上げに対して賛同を得やすくなることでしょう。