2024.7.5
見直し必須!長期修繕計画書その重要性
皆さんのマンションでは、長期修繕計画書を更新していますか?
国土交通省の「マンション総合調査結果」(2023年)によると、長期修繕計画書を作成している管理組合は88.4%にのぼります。一方、この計画書を「5年ごとを目安に定期的に見直している」組合となると、63.2%に留まります。定期的な見直しが実施されていると言えるのは、およそ6割強の管理組合だけなのです。
このコラムでは、マンションにとって非常に重要な長期修繕計画書について、その重要性と見直しポイントなどをご説明します。
1.長期修繕計画書とは
長期修繕計画書とは、マンションの経年劣化に対して適切な修繕工事などを実施するための計画書です。30~35年という長期間に実施が予定さる修繕等が網羅されており、これらの修繕等は修繕積立金を取り崩して実施する旨が規約で定められています。
2.修繕積立金と長期修繕計画書
長期修繕計画書は、修繕積立金の根拠となる資料でもあります。いつ頃、どのような工事が必要で、そのために積み立てるべき費用の規模が明らかにされているからです。大規模修繕工事などを実施しようという時に、積立金が不足していて修繕が実施できない!という問題がしばしばおこりますが、これは長期修繕計画書の見直しと、修繕積立金額の改定が放置され続けた結果です。このことからも、長期修繕計画書が管理組合にとって非常に重要な書類であることが分かります。
3.見直し必須?
長期修繕計画書は、30~35年という長期に渡る計画書であるため、精度を保つためには定期的な見直し(更新)が必須です。国土交通省は5年毎に見直しするよう推奨しています。また、大規模修繕工事の終了直後にも見直しを行うことで、計画の精度をより高めることができます。
見直しの内容は、工事費や原材料費の価格だけでなく、最新の施工技術の反映や修繕箇所の削除などを含みます。マンションの現状に合わせて実施する必要があります。具体的には下記のものが挙げられます。
- ・工事費や原材料費の変更
- ・最新工法や設備に変更
- ・修繕内容の変更(機械式駐車場建替えを撤去に変更など)
- ・管理組合では実施しないと決議した修繕項目の削除(サッシの取替は所有者で行うと決めた場合、長期修繕計画書から削除するなど)
- ・修繕周期の見直し(大規模修繕工事周期を12年から15年に変更するなど)
4.長期修繕計画書はマンションの海図
マンションの運営は長期間に及ぶ困難な航海に似ています。長く安心できる住環境を確保するという目的地に向かう時、長期修繕計画書はマンションになくてはならない海図と言えるでしょう。
常に最新の情報を加え、無駄を省き、更新を重ねながら管理組合の皆さんで大切に取り扱うべき資料なのです。
こちらのコラムもご参照ください。
ドイツのマンション管理事情 >
いかがでしたか?
長期修繕計画書の重要性についてご理解いただけましたか?
次回以降のコラムで、長期修繕計画書の見直し方について、詳しくご説明します。引き続き、お読みください。
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詳しくは、マンション修繕なびをチェック!>マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)
国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com
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