マンション修繕なびコラム 大規模修繕工事の費用はどれくらいかかるのか?

2026.1.5

大規模修繕の費用はどれくらいかかるのか?

大規模修繕工事とは、マンション本体や設備など広範囲を施工する大規模な工事のことです。

軽微な補修工事とは異なり、工事の規模が大きく複雑な施工箇所もたくさんあるため、工期が数ヶ月にわたることは珍しくありません。

大規模修繕工事の施工会社へ支払う費用は、区分所有者(各部屋の持主)が管理組合へ毎月支払う修繕積立金などで賄います。

今回は、大規模修繕工事費用の目安金額について解説していきます。
大規模修繕工事が近々必要になる管理組合員や理事など、マンションの管理に携わっている方はぜひ最後までお読みください。

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1.大規模修繕工事の費用相場【1回目~3回目】

国土交通省が行った「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によれば、一戸当たりの工事金額は以下のように75~125万円が69.1%を占めていました。

※工事足場設置費用を含まず

築年数の経過に伴い、一般的には10~15年の周期で大規模修繕工事を行います。
回数を重ねるごとに施工箇所や範囲が増え、要求される施工技術も高くなるケースがあります。

回数ごとに複雑かつ広範囲に変化していく施工内容のイメージは、以下のとおりです。
工事の具体例としては

<1回目>
・屋上防水の劣化や破損を補修
・外壁タイルや塗装の補修
・建具の不具合の調整 など

<2回目>
・屋上防水の補修もしくは剥離して再装
・外壁タイルや塗装の部分張り替え、塗り替え
・劣化した金属金物類の取替え
・耐用年数を経過した設備の一括取替え など

<3回目>
1~2回目の工事をベースに、状況に応じて以下も施工する
・屋根防水皮膜を撤去して新設
・建具の一括取替え
・埋設給排水管の取替え
・耐用年数を経過した設備の一括取替え など

このように、1回目よりも2回目、3回目と工事科目が増えて施工範囲も広がっていくため、回数を重ねるほど工事費用は高額になっていきます。

2.大規模修繕工事の費用相場【工事別】

大規模工事はおもに以下の工事に分類されます。

・防水工事
・外壁工事
・仮設工事
・設備工事

工事内容や費用相場について、順番に解説します。

防水工事

防水工事のおもな施工方法と相場単価は下表の4つです。施工箇所の状況や耐用年数、価格などの特徴に応じて選びます。

防水素材単価(円/㎡)素材の特徴耐用年数(年)
シート3,000~8,000・塩化ビニル樹脂のシートを敷く
・複雑な形状の場所への施工は困難
10~18
ウレタン5,000~7,500・液体のウレタン樹脂を塗装
・複雑な形状の場所でも施工可能
8~15
FRP4,000~9,000・液体ポリエステル樹脂とガラス繊維
・耐衝撃性、耐摩耗性に優れ軽量
10~15
アスファルト5,500~8,000・不織布アスファルトシート重ね張り
・仕上がりは平らにならない
12~25

防水工事付帯する高圧洗浄・養生費・下地補修・コーキング・ドレン設置・廃材撤去処分など、見積もり内にどれを含んでいるか確認しましょう。

【外壁工事】

外壁工事は、外壁の種類や劣化度合いに応じた施工内容(タイル張りやタイル補修および外壁の上塗りなど)を選択します。

マンションの外壁で使用するタイルの種類や製品はいくつもありますが、工事業者が既存のタイルの種類や状況に応じて最適な素材を選んでくれるため安心です。

また、外壁塗装で使用するおもな塗料と相場単価は下の表のとおりです。耐用年数、メンテナンス頻度、価格などを考慮して選びます。

防水素材単価(円/㎡)素材の特徴耐用年数(年)
ウレタン1,300~2,500・密着性が高く柔らかいので複雑な箇所に向く
・採用事例は減少傾向
5~10
フッ素3,000~5,000・耐候性、耐汚染性、耐傷性に優れる
・劣化に強くメンテナンスが少なくて済む
15~20
ラジカル1,700~4,000・耐候性が高くチョーキングを抑える
・商品の種類、扱いメーカーがまだ少ない
12~15

耐用年数が短い塗料はメンテナンス頻度が上がるため、長期的にはコストが高くなる場合があります。

外壁工事の素材選定や施工方法など、専門的な内容は工事業者からの説明やアドバイスを聞いて選択しましょう。

【仮設工事】

仮設工事とは、作業を安全に行うための設備を設置する工事で、その大部分は足場工事が占めます。

仮設工事の費用相場は、足場面積1㎡当たり700~1,500円です。

足場面積は、足場をマンションの外壁から少し離して設置するため、マンション自体の表面積よりも大きくなります。

仮設工事の費用総額は、以下のとおりです。

・大規模構想マンション :3,000~5,000万円
・中規模以下のマンション:600~800万円

国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、大規模修繕工事に占める仮設工事費の割合は、以下のとおりです。

・超高層タワーマンション:工事金額の29.0%
・それ以外のマンション :工事金額の22.8%

足場は種類によって単価が変わり、高層マンションで採用される移動昇降式やゴンドラは高額になります。

【設備工事】

設備工事とは、マンションの生活機能や安全性、快適性の確保に必要な各種設備の工事を指します。例示すると、以下のような工事です。

・給排水設備:給水管や排水管、貯水槽やポンプ
・電気設備:照明や配電盤、電気配線、非常用電源
・空調・換気設備:エアコンや換気システム、ダクト
・消防設備:消火器やスプリンクラー、火災報知器など
・エレベーター設備:人や物を昇降させる機械
・防犯設備:防犯カメラやオートロック、監視システム
・駐車場設備:立体駐車場や機械式駐車場

大規模修繕工事は設備工事まで一括で行わないことのほうが多く、設備工事はメンテナンス契約の内容や交換周期および劣化状況などにより、最適な時期を見計らって個別に行います。

つまり、大規模修繕工事に併せて設備工事も必ずセットで行うというわけではありません。

そのため、大規模修繕と設備工事は別ものの工事として考え、それぞれ最適なタイミングで最適な分量を判断して行うことが大切です。

給排水管の更新(取り換え)や更生(内部コーティング)の費用相場は、施工範囲(配管の経路および長さ)や施工の難易度、配管内の劣化度合いなどによって異なります。
給排水管の耐用年数は15~30年であり、費用は配管の劣化状況及び口径やマンションの規模によって大きく異なるため、配管内部の調査が必要です。

3.修繕積立金の目安は?

国土交通省の調査によれば、修繕積立金の目安は以下の表のとおりです。

(例)10階建て、機械式駐車場なし、延床面積3,500㎡、部屋の面積75㎡
修繕積立金の目安=平均値335円/㎡・月×75㎡=25,125円/月

4.大規模修繕工事の費用を抑える7つのポイント

大規模修繕工事の費用を抑えるなら、以下の7つのポイントを確認しましょう。

1.信頼できるパートナーを選定する
2.建物診断で正確に現状を知る
3.工事の品質や会社の安定性を見て施工会社を判断する
4.工事内容を見直してみる
5.手遅れにならないタイミングで工事する
6.高機能材料を選ぶようにする
7.助成金・補助金を活用する

順番に解説します。

1.信頼できるパートナーを選定する

大規模修繕工事は、設備や建築および法令などの専門的な知識を必要とするため、管理組合側が全てを理解して適切な判断を下すのは難しい場面がたくさんあります。
このような場合には、知識や経験が豊富で適切な状況判断ができる専門家のサポートが必要になります。

つまり、大規模修繕の中心的なサポートを行う管理会社、建築や構造のチェックおよび計画の立案などは設計事務所などのコンサルタント、実際に現場で施工を行う施工会社などの信頼できるパートナーの存在です。 大規模修繕工事が上手くいくかどうかは、このパートナー選びが上手くいくかどうかにかかっています。

2.建物診断で正確に現状を知る

大規模修繕工事の実施前には建物診断を行います。この診断内容を元にして大規模修繕工事の内容や工法、予算、工期などが決まります。
工事範囲や内容が無駄なく適切に行えるように、建物の状態を慎重に正確に調査・診断しなくてはなりません。

3.工事の品質や会社の安定性を見て施工会社を判断する

大規模修繕工事の施工会社を決定するなら、はじめから一社に絞って見積もりをとるのではなく、複数社から見積もりを取って報告内容や施工箇所、工事金額などを比較することをおすすめします。
そして、いろんな担当者や施工会社と触れ合って、相性が良いと判断した一社を決定するとよいでしょう。
受けとった見積もりに関連工事や仮設費、養生費、残材処分費、諸経費などを含んでいるのか、これまでの施工実績や経験の内容はどうか、リスクと回避策を充分に把握しているか、工事にかける思いなどを探るとよいでしょう。
加えて、会社の財務状況など安定経営が行われているのかなども、アフターフォローの質に関わるため、総合的に判断することが大切です。

4.工事内容を見直してみる

見積金額が想定予算を上回った場合には、工事内容の見直しをすべきでしょう。本当に今その工事が必要なのか、建物や設備の現状と耐用年数、リスクの確率などを考慮しながら、今回の施工に含めるのかを精査しましょう。
次回の大規模修繕工事まで耐えられるなら次回の工事へ回す、もしくは積立金や一時金などから資金調達の目途が付いたなら、スポット工事として施工する方法もあります。

5.手遅れにならないタイミングで工事する

大規模修繕工事を行うタイミングは、一般的に12~15年とされます。
これは、建物躯体や設備、外壁材や金属金物、塗料、繰り返しの使用にともなう損耗などから、それぞれの素材が耐用年数および寿命を迎えるとされる時期だからです。

例えば、外壁のクラックを放置すると雨水がコンクリートの中心部へ浸潤し、中の鉄筋が錆びにより膨張して、躯体の強度に深刻なダメージをもたらします。
つまり、ダメージを放置しすぎることにより、直さなくてはいけない範囲が広がって、工事費用や期間が膨らむからです。

6.高機能材料を選ぶようにする

工事費用を安く抑える意識はとても重要ですが、コストカットを追求するあまり建材や部材、塗料などを価格の安いもので揃えるのは本末転倒です。
工事で使用する材料は性能も価格も幅広くありますが、耐久性・耐傷性・耐熱性・耐候性などに優れた製品は価格が高い傾向です。
ただし、機能が高く劣化が遅いため工事の効果が高くあらわれ、次の大規模修繕工事までの間隔が長くなり、長期視点で見れば大幅なコストカットになり得ます。

7.助成金・補助金を活用する

大規模修繕工事を安く抑えるために、助成金・補助金を活用する方法があります。国や自治体には、大規模修繕工事に対する支援費用制度を設けていることがあり、自分たちの工事で活用できるケースがあるからです。

一例として、劣化診断補助やアスベスト除去、防災対策整備、バリアフリー化、屋上緑化、防音工事などで支援を受けられるケースがあります。

5.大規模修繕工事は高額であるが必要なこと

マンションの建物や設備の状態を良好に維持するためには、定期的に異常検知や状況把握をして、問題のあった箇所の消耗品交換、作動調整、補修などを行い、それらを履歴として記録し保管しておく必要があります。

大規模修繕工事は、数千万円~数億という巨額の費用がかかりますが、マンションの健康寿命を延ばして資産価値を維持するためには、定期的な改修や設備の刷新は欠かせません。

専門的な知識に基づく適切な判断を必要とする場面が多いため、専門家のサポートが必要になる場面は多いといえるでしょう。


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いかがでしたか?
大規模修繕の大まかな費用をご理解いただけたでしょうか。
大きな金額が動く工事となりますので、少しでも節約したいところですよね。
相見積もりで少しでも安くなれば御の字ではないでしょうか。
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