
2025.6.12
大規模修繕の工事内容 仮設工事編~共通仮設と直接仮設~
大規模修繕の実施を検討するにあたり、言葉の意味が分からなかったり、具体的な工事の内容がわからなかったりすると、なかなか検討もうまく進みません。
そこで今回は、大規模修繕の工事内容のうち、必ず発生する仮設工事について解説します。工事内容を理解することで、本当に必要かどうか判断することができるようになるでしょう。
建物の大規模修繕工事では、仮設工事が重要な役割を果たします。仮設工事とは、修繕作業を円滑に進めるために設置される一時的な設備や構造物のことを指し、これには大きく「共通仮設」と「直接仮設」の2種類があります。
1.共通仮設とは
共通仮設とは、工事全体を通じて必要となる仮設設備のことで、作業員の安全を確保し、工事をスムーズに進めるために設置されます。代表的な例として、以下のようなものがあります。
仮設事務所・休憩所:施工業者の作業員が業務を行ったり休憩したりするための施設。
仮設トイレ:作業員の衛生環境を維持するために設置される仮設設備。
仮設電源・照明:工事中に必要となる電力を供給するための設備。夜間作業や室内作業のための照明なども含まれる。
仮設フェンス・ゲート:工事範囲を区分し、第三者の立ち入りを制限する安全対策。
共通仮設は、工事の規模や期間に応じて設計され、作業員の労働環境を整えると同時に、周囲の安全確保にも貢献します。マンション内に共用のトイレや仮設事務所に使用できるようなスペースがあれば、施工会社に提供することで工事費を抑えることも可能です。
2.直接仮設とは
直接仮設は、実際の修繕工事を行うために必要となる仮設設備であり、主に施工のための作業空間を確保する目的で設置されます。代表的なものとして、以下が挙げられます。
足場:外壁や屋根の修繕を行う際に作業員が安全に移動・作業できるようにするための構造物。単管足場、枠組み足場、吊り足場などがある。
ゴンドラ:高層マンションの外壁塗装や補修作業などに作業スペースを確保するための構造物。マンションにおいては、屋上に設置した吊り装置からワイヤー等で吊るして使用する吊りゴンドラが一般的。
防護ネット・養生シート:粉塵や塗料の飛散を防ぎ、周囲の建物や歩行者に影響を与えないようにするための設備。
仮設通路・階段:建物の住人や作業員の動線を確保するための仮設構造。安全性を考慮した設計が求められる
直接仮設は、修繕作業の進行に直結するため、効率的かつ安全に設置することが求められます。近年では、足場の仮設工事費を抑えるため、ブランコ工法による補修方法も採用されているケースがあります。自身のマンションの構造や、修繕工事の内容に応じて適切な仮設計画を立てることが重要です。

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いかがでしたか。
仮設工事は、大規模修繕工事において不可欠なものです。それぞれの役割を理解し、適切な計画を立てることで、安全かつ円滑な工事の進行が可能となり、費用の削減の可能性も生まれます。
今回は仮設工事について解説しましたが、大規模修繕工事には、仮設工事以外にも多岐にわたる工事内容が含まれます。それらをすべて理解することは難しいので、設計事務所やマンション管理士のサポートを受けることで、よりよい大規模修繕工事が実施できるかもしれません。
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黒木 淳
(マンション管理士)
大手マンション管理会社にてフロント担当者として勤務。
その後、独立系管理会社にてフロント業務のほか、管理組合支援業務として第三者管理業務、顧問業務を行う。
現在は、マンション管理の専門家として、管理組合が管理会社と対等な関係が築けるようサポートを行っている。
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