
2025.2.21
大規模修繕工事前の長期修繕計画見直しのススメ
「大規模修繕工事が終わってから、長期修繕計画の見直しに着手しよう!」とお考えではありませんか?この方針は、“成り行き任せで場当たり的”かもしれません。
この記事では、大規模修繕工事に着手する前に長期修繕計画の見直しが欠かせない理由について、ご説明します。
▶長期修繕計画書の必要性については、コラム「見直し必須!長期修繕計画書その重要性」をご参照ください。
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1.大規模修繕工事前に長期修繕計画の見直しが必要な理由
そもそも、マンション開発当初、修繕積立金は低く設定され、将来の積立金値上げが必須の設計となっています。このため、長期修繕計画通りに修繕工事を実施する一方、修繕積立金を値上げせず据え置けば、資金不足に陥るのは当然の帰結といえます。しかし、その事実を多くの組合員は認識していません。
ある管理組合では、修繕計画の見直しを5年以上行わないまま、大規模修繕工事に突入しました。工事の途中で追加改修が発生する等して、計画以上の出費を余儀なくされ、修繕積立金を使い果たすこととなりました。大規模修繕工事直後に、修繕計画の見直しを実施したところ、大幅な積立金の値上げが必要と判明しましたが、修繕計画書の妥当性に疑問符が付き、計画書の見直しや積立金の値上げについて合意がえられず、膠着状態に陥りました。
この管理組合が、大規模修繕工事直前に長期修繕計画の見直しを行っていれば、直近の工事に出費した後に積立金がどのように推移するかを把握でき、一部の修繕を見送ったり、取替の計画を塗り替えに変更する等、費用の抑制を判断できたかもしれません。また、修繕積立金の長期的推移について組合員と早めの情報共有も可能となり、積立金の値上げについて紛糾するような事態を避けられたかもしれません。
値上げ幅を出来るだけ抑えるべく大規模修繕工事内容を精査するために、長期修繕計画の工事前見直しは費用を掛けてでも実施する価値があるのです。

2.修繕工事前の見直しポイント
大規模修繕工事の計画を立てる前に、長期修繕計画を見直し、下記事項を把握するようにしましょう。
・直近の大規模修繕工事以降の修繕積立金の長期的推移
・大規模修繕工事以降の 次回大規模修繕工事までの間に予定されている修繕とその費用
・次回の大規模修繕工事時のために修繕積立金の値上げが必要かどうかと値上げ幅

これらを事前に把握できれば、次回の大規模修繕工事を踏まえて、直近の工事にどの程度費用を掛けるべきか確認でき、修繕範囲を取捨選択しやすくなります。
▶長期修繕計画書の見直しポイントについては、コラム「長期修繕計画書、見直しポイント3選」をご参照ください。
3.大規模修繕工事終了時にも更新が必要
大規模修繕工事の設計段階で長期修繕計画を見直したからと言って安心できません。工事終了後にも見直しの必要があるのです。これは、直近の修繕工事に掛かった実際の費用に照らして、次回の大規模修繕工事の概算工事費を更新し、より精度の高い計画にバージョンアップするためです。また、見送った修繕を、計画中に新たに組み込むことも必要です。
4.次回大規模工事を見越した計画に基づき、修繕積立金について議論する
以上のように、大規模修繕工事の前と後に長期修繕計画を見直すことで、長期的資金計画の精度を上げることができます。精度の高い計画を活用して修繕工事を実施すれば、組合財政の破綻を回避できるかもしれません。
修繕積立金の値上げが必要な場合には、大規模修繕工事の前から組合員に周知することができますし、精度の高い計画を根拠に議論すれば、組合員からの同意も得やすくなるでしょう。 しかし、大規模修繕工事前に長期修繕計画の見直しを実施してくれる管理会社やコンサルタントは多くありません。大規模修繕工事のパートナーであるコンサルタントを採用する際には、この事前見直しの有無を判断材料の一つにすることをお奨めします。

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いかがでしたか?
大規模修繕工事の前にも長期修繕計画の見直しが必要な理由をご理解いただけましたでしょうか。組合運営は長期に及ぶ船旅に似ています。長期修繕計画書は組合運営の海図であり見直しを重ね精度を上げていくことが求められます。よい海図は皆さんの船旅に安心と安全をもたらしてくれることでしょう。
マンション修繕なび では、大規模修繕工事の前後に長期修繕計画を見直してくれるコンサルタントをご紹介しています。長期修繕計画に関する無料セミナーも開催していますので、その重要性を直接専門家から学ぶことができます。是非ご活用ください。

マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)
国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com
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