マンション修繕なびが生まれた理由

マンション修繕の課題に直面した実体験があるからこそ、お悩みを抱えるお客さまに寄り添えるサービスを提供したい。

廣田 安將Hirota Yasuyuki

株式会社オプテージ
コンシューマ事業推進本部

きっかけは、自分の経験と
お客さまの話がリンクしたこと。

私は2018年に自宅マンションを購入。2020年にマンションの役員を経験し、2022年に修繕委員に就任しました。マンション修繕に関わるのは初めてでしたが、見積もりなどを見るたびに「これは本当に今やるべき工事なのか?」「金額の妥当性もよくわからないな…」と、疑問や不安を感じていました。

そこで試しにと、WEBで探した地元の工務店に見積もりをお願いできないかと相談したところ…「うちは管理組合とは直接商売していない」と断られました。
マンションの修繕工事は、今後も安心して住み続けられる住まいを保つためのもの。動く金額も大きく、慎重に検討して納得のいくよう進めるべき重要な工事です。それなのに、他の業者に相見積もりをとるのも簡単ではないという現状を体感して、なんとも言えない気持ちになりました。

そんななか、大阪市内のマンションで理事長を務めている方とお話する機会がありました。
「修繕積立金の値上げをしなきゃいけなくて困ってるんだよね…。管理会社からの工事の見積もりは、付き合いのある会社だから安心だけど、割高だし。かといって自分で業者を探してきて、後々トラブルになったら嫌だしなぁ」
自分が直面した悩みを抱えている人が、他にもいる。そう気づいたことが、このサービスを考え始めたきっかけでした。

1逆境の中、見えた光明

サービス立ち上げを目指して奮闘するも、
冷ややかな目で見られることも。

「マンション修繕の相見積もりを簡単に取れるサービスができないだろうか?」
そう考えた私は、マンション管理士、工事会社、設計事務所、設備会社、管理会社、デベロッパーなど、さまざまな業界の方に話を伺いました。

「管理組合は管理会社に丸投げしたいだろうし、そんなサービス関心ないと思うよ」「管理組合に直接見積もりを出しても、結局は管理会社と取引がある事業者に決まるから意味がないよ」
「昔、そんなサービスがあったけど…談合ばかりでうまくいかなかったよ」
多くの業界関係者は否定的で、返ってくるのは芳しくない反応ばかり。実現すれば、きっと喜んでもらえる良いサービスになる!と意気込んでいた分、前途多難な状況に心が萎んでしまいそうでした。

そんななか、たまたま出会ったマンション管理士の先生が「管理組合のみなさんにとって、新しい選択肢になるのであれば」と協力を申し出てくださったのです。なかなか思うように進まない逆境の中で、ようやく一筋の光が見えたような気分でした。
さらに良いことは続き、修繕コンサルタントを長年経験されている先生をご紹介いただくことができました。これが転機となり、サービス立ち上げに向けて本格的に取り組むことができるようになったのです。

2解決すべき社会課題

このサービスには、
本当にお客さまのニーズがあるか?

先生方にお会いして、まず最初に検証しなければならなかった課題。
それは、「管理組合の理事を務める方たちは、本当に困っているのか?」「このサービスに興味を持ってもらえるのか?」ということでした。

この大きな課題を解決すべく、2021年12月に初めてオンラインセミナーを開催することにしました。やると決めたものの、本当に人が集まってくれるのか、理事や管理組合の方に参加してもらえるのか心配で心配で…。
ところが蓋を開けてみると、インターネット検索でWEBサイトを訪れてくれた20名あまりの理事や修繕委員の方たちに参加いただくことができ、想像以上の盛り上がりで無事にセミナーを終えることができました。

「うちも、積立金が足りなくて困っている」
「良いコンサルや施工会社の選び方がわからない」
「私は課題感を持っているが、どう進めていいかわからない」

たくさんのお客さまからリアルな共感の声をいただけたことで、「これは、解決すべき社会課題だ」との確信を深めた私たちは、ついにサービス開始へと乗り出しました。

3マッチングサービスの誕生

単なる「一括見積りサービス」
では、足りない。

その後、さらに多くのお客さまや業界関係者から話を聞くなかで、分譲マンション特有の課題も見えてきました。
マンションの修繕工事は、塗装や防水などの建物の他にも、給排水管や機械式駐車場、エレベーターといった設備など、さまざまな部位の修繕・改修について、適切な資金計画を立てながら、合理的に進める必要があります。

さらに管理組合の性質上、適切な合意形成がなにより重要です。
例えば、理事会の中でも知識や認識に差があることで対立が発生してしまうことや、本来は理事会での承認が必要だった行動を修繕委員の方が独断で行ってしまい、トラブルに発展してしまうようなケースもあります。また、公正な選定プロセスや委員会・理事会から総会に至るまでの意思決定の手順など、素人には単独で進行が難しい場面が多々あります。
理事会や管理組合内でのトラブルを避け、円滑に修繕を進めるためには、やはり専門知識を有したプロのサポートが不可欠なのではないか、という思いが強くなっていきました。

こうして見えてきたマンション修繕工事を取り巻くさまざまな課題、そして修繕委員の方や理事の方たちのリアルなお悩みを受け…私たちは、事業者を探して一括で見積もりをとれるだけのサービスでは不十分だと実感しました。
もっと手厚く、より親身になって修繕委員の方や理事の方たちをサポートできるサービスにしたい。そんな思いから事業者の選定や資料作成などもお手伝いする、マッチングサービスを考案しました。

4“素人”である強み

なぜ、オプテージが?
そしてなぜ、マッチングなのか?

「なぜ、オプテージがわざわざ異業種のサービスを開始するのか?」
「なぜ、自社でコンサルティングするのではなく、マッチングビジネスを行うのか?」さまざまな検証を終え、サービスの設計に入った際、社内外の方からこういった質問を受けることが多々ありました。

今この業界にある最大の課題は何か。
私たちは、お客さまから見た時に客観的な情報やわかりやすい解説が不足しているという、情報の不透明性だと考えます。

この課題に対して私たちは、お客さまの抱える不安や課題を本当に理解するためには、私たちがまず“素人”である必要がある、と強く感じました。
業界の慣習や状況に詳しいわけではなく、かつビジネス的なしがらみの少ない当社のような存在だからこそ、フラットに、お客さまに寄り添ったサービスが作れるのではないかと思うのです。
確かに、我々がコンサルとなって活動すれば、わかりやすくお客さまの課題を解決することになるでしょう。しかし、それでは自社で対応できる範囲での活動に限定されてしまいます。
同じく“素人”であるお客さまの不安を取り除き、わかりづらい情報を誰もが理解できる形にして提供していくためには、当社はあくまでも既存のプレイヤーを巻き込んだ第三者でいることが必要だと考えたのです。

5これまでも、これからも

お客さまと一緒に進化し続けるサービスへ。

2022年4月、ついにマンション修繕工事の専門家と協力して、お客さまのご要望を伺い、信頼できる事業者をご紹介する新たなサービスとして「マンション修繕なび」が誕生。
サービス開始当初から大変好評いただいている無料セミナーも、現在は関西圏を中心に定期的に開催しておりますが、今後は首都圏や他の都市などでも活動の範囲を拡げていく予定です。

前述のとおり、マンションの修繕工事の実施は、計画がとても大切です。実際に、多くのお客さまからも「長期修繕計画が曖昧で不安」といったお声をいただきます。
そこで現在、パートナーの設計事務所と、新たに長期修繕計画の作成サービスの開発を検討しています。この検討にも、ご協力いただく管理組合さまを募集し、実際のお客さまの声を反映しながら検証を進めています。
長期修繕計画の精度の高さや妥当性などを担保しながら、素人にもわかりやすいものとしてご提供できるよう、準備中です。

これまで、多くのお客さまに支えられ、「マンション修繕なび」は成長してきました。
これからも、お客さまに向き合い、マンションに関する課題解決につながるようなサービスの開発に尽力していきます。

まずはマンション修繕について知りたい・学びたいという方は、
わたしたちが開催しているセミナーにもぜひご参加ください。

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